【1 行動こうどう制限せいげんなど】

「5類るい」に移行いこうされると、これまで行おこなわれてきた行動こうどう制限せいげんができなくなります。できなくなる行動こうどう制限せいげんは、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん、入院にゅういん勧告かんこく・指示しじ、感染かんせん者しゃや濃厚のうこう接触せっしょく者しゃの外出がいしゅつ自粛じしゅく要請ようせいなどです。

【2 医療いりょう機関きかんの対応たいおう】

入院にゅういんの受け入うけいれや診療しんりょうができるのはこれまで感染かんせん症しょう指定してい医療いりょう機関きかんや発熱はつねつ外来がいらいなど一部いちぶの医療いりょう機関きかんだけでした。「5類るい」移行いこう後ごは幅広はばひろい医療いりょう機関きかんで対応たいおうできるよう、段階だんかい的てきに移行いこうする方針ほうしんです。

【3 公費こうひ負担ふたん】

入院にゅういんや検査けんさにかかる医療いりょう費ひは、現在げんざいは全額ぜんがく公費こうひ負担ふたんで、患者かんじゃの負担ふたんはありません。「5類るい」移行いこう後ごは原則げんそく、一部いちぶが自己じこ負担ふたんになります。ただ、受診じゅしん控ひかえが起おきることなども懸念けねんされることから、当面とうめんは公費こうひでの負担ふたんを継続けいぞくした上うえで段階だんかい的てきに見直みなおしていく方針ほうしんです。

【4 水際みずぎわ対策たいさく】

政府せいふはこれまで海外かいがいから日本にっぽんに入国にゅうこくする人ひとに対にたいし、3回かいのワクチン接種せっしゅの証明しょうめい書しょなどを求もとめていました。「5類るい」では原則げんそく、こうした措置そちは取とれなくなります。

感染かんせん者しゃの報告ほうこくについてはこれまで医療いりょう機関きかんや保健所ほけんじょに対にたいして全数ぜんすう報告ほうこくを求もとめていました。「5類るい」では原則げんそく、基幹きかん病院びょういんからの定点ていてん報告ほうこくに変更へんこうされます。

【6 マスクの着用ちゃくよう】

屋内おくないでのマスクの着用ちゃくようは距離きょりが確保かくほできていて会話かいわをほとんどしない場合ばあいを除のぞいて着用ちゃくようが推奨すいしょうされています。厚生こうせい労働ろうどう省しょうは分類ぶんるいの移行いこうとあわせて、個人こじんの判断はんだんに委ゆだねる方向ほうこうで検討けんとうしています。政府せいふは、1月つき27日にちの新型しんがたコロナ対策たいさく本部ほんぶで、マスクについては、屋内おくない、屋外おくがいを問とわず、着用ちゃくようを個人こじんの判断はんだんに委ゆだねることを基本きほんにするよう見直みなおすとした上うえで、具体ぐたい的てきな見直みなおし時期じきを検討けんとうしていく考かんがえを示しめしました。

【7 ワクチン接種せっしゅ】

ワクチン接種せっしゅは予防よぼう接種せっしゅ法ほうに基もとづいて無料むりょうでの接種せっしゅが進すすめられてきました。接種せっしゅ費用ひようの負担ふたんを今後こんごどうするかについて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは専門せんもん家かで作つくる分科ぶんか会かいで議論ぎろんを行おこなっていて、ことし4月つき以降いこうも無料むりょう接種せっしゅを続つづけるかや対象たいしょう者しゃをどうするかについては今年度こんねんど中ちゅうに結論けつろんを示しめすことにしています。政府せいふは、必要ひつような接種せっしゅであれば引き続ひきつづき自己じこ負担ふたんなく受うけられるようにするとしています。

一方いっぽうで、感染かんせんがより広ひろがりやすいオミクロン株かぶになったことで感染かんせん者しゃ数すうが桁違けたちがいに増加ぞうかし、亡なくなった人ひとは去年きょねん12月つきからの2か月かげつほどで約やく1万まん7000人にん（1月つき26日にち時点じてん）と、これまでに亡なくなった人ひとのうちのおよそ4人にんに1人にんを占しめています。

【コロナの季節きせつ性せいは】

専門せんもん家かは毎年まいとし冬ふゆに流行りゅうこうするインフルエンザと異ことなり、季節きせつを問とわず感染かんせんが広ひろがり流行りゅうこうの規模きぼや時期じきが予測よそくできないため、対応たいおうが難むずかしいとしています。さらに、新型しんがたコロナは変異へんいが起おきるペースがインフルエンザに比くらべて速はやく、新あたらしい変異へんいウイルスが出現しゅつげんするおそれがあるとしています。

【治療ちりょう薬やくは】

新型しんがたコロナでは飲のみ薬やくが使つかわれているものの、専門せんもん家かはインフルエンザのタミフルなどの抗こうウイルス薬やくに比くらべて使用しようする際さいの手続てつづきが煩雑はんざつなうえ、基礎きそ疾患しっかんのある人ひとに使つかいにくい場合ばあいもあり、簡単かんたんに投与とうよできる状態じょうたいになっていないとしています。

【受診じゅしんできる医療いりょう機関きかんは】

【対策たいさくは「個人こじんが主体しゅたい的てきに選択せんたく」へ】

「5類るい」に移行いこうしても、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん力りょくや病原びょうげん性せいが変かわるわけではありません。

専門せんもん家かは引き続ひきつづき感染かんせん対策たいさくが必要ひつようだとしていて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうのメンバーらは1月つき25日にち、今後こんごの身近みぢかな感染かんせん対策たいさくについて「政府せいふの要請ようせいに基もとづく一律いちりつの対策たいさくから、個人こじんや集団しゅうだんが流行りゅうこう状況じょうきょうやリスクに応おうじて主体しゅたい的てきに選択せんたくして行おこなうことになる」とする考え方かんがえかたを示しめしました。

そして「職場しょくばや集あつまりでは話し合はなしあいなどで合意ごういすることが望のぞましく、対策たいさくを行おこなうことや逆ぎゃくに対策たいさくをやめることが強要きょうようされないよう、個人こじんの選択せんたくを尊重そんちょうする配慮はいりょがされるべきだ」としています。

さらに「人混ひとごみができる公共こうきょうの場ばでは重症じゅうしょう化かしやすい人ひと、健康けんこうでも感染かんせんを避さけたい人ひとがいることを踏ふまえて、こうした人ひとたちが不安ふあんを感かんじない配慮はいりょのある対策たいさくが求もとめられ、病院びょういんや高齢こうれい者しゃ施設しせつでは感染かんせんが広ひろがりやすく拡大かくだいした場合ばあいの影響えいきょうが大おおきいことから、感染かんせんを持ち込もちこまれないようにすることは引き続ひきつづき重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

具体ぐたい的てきな場面ばめんで求もとめられる感染かんせん対策たいさくについては、今後こんご示しめしていくとしています。

新型しんがたコロナウイルスは主おもに感染かんせん者しゃがせきやくしゃみ、それに会話かいわなどの際さいに排出はいしゅつする飛ひまつ、それに「エアロゾル」や「マイクロ飛ひまつ」と呼よばれるごく小ちいさな飛ひまつを通をつうじて感染かんせんが広ひろがります。

症状しょうじょうが出でる前まえや無む症状しょうじょうで感染かんせんしたことに気付きづいていない場合ばあいでもウイルスを排出はいしゅつして感染かんせんを広ひろげるおそれがあるため、屋内おくないで人ひととの距離きょりが取とれない場合ばあいや距離きょりが取とれても会話かいわをする場合ばあいはマスクの着用ちゃくようが推奨すいしょうされてきました。

専門せんもん家かの見解けんかいの中なかでは、

▼感染かんせん者しゃや症状しょうじょうのある人ひと、

▼濃厚のうこう接触せっしょく者しゃなど感染かんせんリスクの高たかい機会きかいがあった人ひとについては人ひとと会あう外出がいしゅつを控ひかえるとともにマスクの着用ちゃくようが求もとめられるとしています。

▼それ以外いがいの人ひとたちについては、流行りゅうこう状況じょうきょうや場面ばめんに応おうじて十分じゅうぶんな換気かんきを含ふくめた感染かんせん予防よぼう対策たいさくが求もとめられるとして、例れいとして高齢こうれい者しゃ施設しせつなどでマスクを着用ちゃくようすることなどを挙あげています。

▼都道とどう府県ふけん知事ちじが行おこなっていた感染かんせん対策たいさくの呼よびかけの法的ほうてき根拠こんきょが失うしなわれることで、「新型しんがたコロナは終おわった」とみなされ必要ひつような感染かんせん対策たいさくが行おこなわれなくなる可能かのう性せいがあること。

▼対策たいさく本部ほんぶが廃止はいしされることで、感染かんせん力りょくや病原びょうげん性せいが著いちじるしく上あがった新あらたな変異へんいウイルスが現あらわれた場合ばあいに迅速じんそくな措置そちができなくなる可能かのう性せいがあること。

▼ワクチンに関にかんする対策たいさくが縮小しゅくしょうされる可能かのう性せいがあり、接種せっしゅの際さいに自己じこ負担ふたんが発生はっせいすれば接種せっしゅ率りつが低下ていかする可能かのう性せいがあること。

また、感染かんせんを受け入うけいれる社会しゃかいになっていくのかと問とわれたのに対にたいし「『感染かんせんを許容きょようする』というのは『一定いっていの死亡しぼう者しゃを許容きょようするかどうか』という議論ぎろんとつながる。諸しょ外国がいこくの例れいを見みても、対策たいさくを急激きゅうげきに緩和かんわしてしまうと死亡しぼう者しゃが急激きゅうげきに発生はっせいすることがわかっている。医学いがくの領域りょういきを超こえて価値かち観かんの問題もんだいで、医療いりょう関係かんけい者しゃか経済けいざいの人ひとなのか、高齢こうれい者しゃか若わかい人ひとなのかでも見みる景色けしきが違ちがってくる。5類るいの議論ぎろんは価値かち観かんの問題もんだいを議論ぎろんすることで少すこしずつ国民こくみん的てきなコンセンサスを作つくっていくことが必要ひつようだと思おもう」と述のべました。

現在げんざいは、新型しんがたコロナの患者かんじゃが入院にゅういんする際さいには、保健所ほけんじょなどが受け入うけいれ先さきの病院びょういんの調整ちょうせいを担になっていますが、コロナ以外いがいの患者かんじゃの場合ばあいは患者かんじゃの診察しんさつにあたる医師いしや、看護かんご師しが調整ちょうせいにあたります。受け入うけいれ先さきの病院びょういんのベッドに空あきがないなどの理由りゆうで断ことわられることも多おおく、入院にゅういん先さきが見みつからないまま長ながい時間じかん、酸素さんそ吸入きゅうにゅうと点滴てんてきで対応たいおうすることもあるということです。

一方いっぽうで「コロナの患者かんじゃをどこの医療いりょう機関きかんでも診療しんりょうすることになれば、コロナの患者かんじゃが増ふえたとしてもほかの医療いりょう機関きかんに分散ぶんさんし、発熱はつねつ外来がいらいがある医療いりょう機関きかんへの患者かんじゃの集中しゅうちゅうが解消かいしょうされ、余裕よゆうをもって診察しんさつに取り組とりくめるのではないか」と期待きたいを寄よせていました。

また、これまで発熱はつねつ外来がいらいを設置せっちしていなかった医療いりょう機関きかんからは感染かんせん対策たいさくの難むずかしさなど、今後こんご受け入うけいれるうえでの課題かだいを指摘してきする声こえが聞きかれました。

3年ねん前まえ、新型しんがたコロナの感染かんせんが拡大かくだいすると、発熱はつねつ外来がいらいを設置せっちする医療いりょう機関きかんも増ふえていきましたが、このクリニックは対応たいおうが難むずかしいとして設置せっちしませんでした。

課題かだいのひとつは、感染かんせんしている可能かのう性せいがある患者かんじゃと他たの患者かんじゃを分わける「ゾーニング」です。およそ40平方メートルへいほうめ-とるのこのクリニックでは待合まちあい室しつと診察しんさつ室しつが一ひとつずつで、それぞれの動どう線せんを分わけることが難むずかしいということです。通院つういん患者かんじゃの7割わりが高齢こうれい者しゃで、慢性まんせい疾患しっかんを抱かかえる人ひとも多おおく、重症じゅうしょう化かリスクが高たかい患者かんじゃも少すくなくありません。

一方いっぽうで、湯浅ゆあさ医師いし自身じしんは発熱はつねつ外来がいらいがある病院びょういんで週しゅう1回かい勤務きんむしたり、休日きゅうじつ夜間やかん急患きゅうかん診療しんりょう所しょで診療しんりょうに当あたったりとできる範囲はんいでコロナ患者かんじゃへの対応たいおうに当あたってきたということです。

そのうえで「5類るいだからどこの医療いりょう機関きかんもみてくれるだろうと患者かんじゃさんの意識いしきが変かわって、現実げんじつはそうでないとなると現場げんばがかなり混乱こんらんすることが考かんがえられる。段階だんかい的てきに5類るいにしていくということは必要ひつようだと思おもうが、現場げんばの状態じょうたいを考かんがえて進すすめてほしい」と話はなしていました。

「2類るい」には重症じゅうしょう化かリスクや感染かんせん力りょくが高たかい「結核けっかく」や「重症じゅうしょう急性きゅうせい呼吸こきゅう器き症しょう侯こう群ぐん＝SARS」などがあり、地方ちほう自治体じちたいは感染かんせん者しゃに就業しゅうぎょう制限せいげんや入院にゅういん勧告かんこくができ、医療いりょう費ひは全額ぜんがく、公費こうひで負担ふたんします。入院にゅういん患者かんじゃは原則げんそく、感染かんせん症しょう指定してい医療いりょう機関きかんが受け入うけいれ、医師いしはすべての感染かんせん者しゃについて発生はっせい届け出とどけでを保健所ほけんじょに届とどけなければならないとされています。

一方いっぽう、「5類るい」には「季節きせつ性せいインフルエンザ」や「梅毒ばいどく」などがあり、地方ちほう自治体じちたいは就業しゅうぎょう制限せいげんや入院にゅういん勧告かんこくの措置そちがとれないほか、医療いりょう費ひは一部いちぶで自己じこ負担ふたんが発生はっせいします。一般いっぱんの医療いりょう機関きかんでも入院にゅういん患者かんじゃを受け入うけいれ、季節きせつ性せいインフルエンザでは医師いしの届け出とどけでは7日にち以内いないとされ、患者かんじゃの全数ぜんすう報告ほうこくは求もとめられていません。

新型しんがたコロナウイルスは当初とうしょは特性とくせいがわからなかったため「2類るい相当そうとう」とされました。その後そのご、おととし2020年ねんの2月つきに法ほう改正かいせいで5つの類型るいけいに入はいらない「新型しんがたインフルエンザ等とう感染かんせん症しょう」に位置いちづけられ、外出がいしゅつ自粛じしゅく要請ようせいなど「2類るい」よりも厳きびしい措置そちがとれるほか、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんのような強つよい行動こうどう制限せいげんができるようにしていました。

こうした中なかで政府せいふは去年きょねん12月つきから5類るいへの引き下ひきさげも含ふくめて見直みなおしに向むけた議論ぎろんを本格ほんかく化かさせ、専門せんもん家かに必要ひつような検証けんしょうを求もとめていました。