沖縄おきなわ県けんのアメリカ軍ぐん基地きち周辺しゅうへんの河川かせんや地下ちか水すいなどで国くにの暫定ざんてい的てきな目標もくひょう値ちを超こえる値ねが相次あいついで検出けんしゅつされたことを受うけ、京都大きょうとだい学がく大学院だいがくいんの原田はらだ浩二こうじ准じゅん教授きょうじゅと市民しみん団体だんたいは、アメリカ軍ぐん横田よこた基地きちのある多摩たま地域ちいきの住民じゅうみん650人にんを対象たいしょうに血液けつえき検査けんさを行おこない、8日にち、立川たつかわ市しで開ひらいた記者きしゃ会見かいけんでその結果けっかを公表こうひょうしました。

それによりますと、検査けんさを受うけた650人にんで検出けんしゅつされたPFOSとPFOAを合あわせた平均へいきん値ちは14.6ナノグラムで、これは国くにがおととし、全国ぜんこくの3地点ちてんで行おこなった調査ちょうさの平均へいきん値ちの2.4倍ばいにあたるということです。

PFOSとPFOAの合計ごうけいの平均へいきん値ちが高たかいところでは自治体じちたい別べつで、

▽国分寺こくぶんじ市しで23.2ナノグラム

▽立川たつかわ市しで19ナノグラム

▽武蔵野むさしの市しで15.8ナノグラムなどとなっています。

原田はらだ准じゅん教授きょうじゅは「沖縄おきなわなどに続つづいて、多摩たま地域ちいきでもこうした結果けっかが出でたことから、全国ぜんこく的てきな問題もんだいだと捉とらえて、国くにや自治体じちたいが、しっかりした調査ちょうさをしてほしい」と話はなしていました。

Q.1

化学かがく物質ぶっしつの「PFAS」。一体いったいどのようなものなのか？

A.1

有機ゆうきフッ素ふっそ化合かごう物ぶつ「PFAS」は、人工じんこう的てきにつくられ、自然しぜん界かいには存在そんざいしない物質ぶっしつの総称そうしょうで、4700種類しゅるい以上いじょうあるとされています。水みずや油あぶらをはじき、熱ねつに強つよいことから、テフロン加工かこうのフライパンや食品しょくひんのパッケージなど様々さまざまな製品せいひんに使つかわれてきました。このうち「PFOS」「PFOA」と呼よばれる2つの物質ぶっしつは、アメリカの研究けんきゅうで有害ゆうがい性せいが指摘してきされています。こうしたことを受うけ、今いま、国内こくないではこれらを使用しようした製品せいひんの製造せいぞうが禁止きんしされています。国くには、飲料いんりょう水すいとするには、PFOSとPFOAが、1リットルあたり50ナノグラム以下いか（1ナノグラム＝10億おく分ぶんの1グラム）を暫定ざんてい的てきな目標もくひょう値ちとして設定せっていしています。一方いっぽう、アメリカでは、PFOSは0.02ナノグラム以下いか、PFOAは0.04ナノグラム以下いかを基準きじゅんとすべきとしていて、わずかでも検出けんしゅつされるべきではないとする考かんがえです。

Q.2

今回こんかいの血液けつえき検査けんさは、なぜ多摩たま地域ちいきの住民じゅうみんが対象たいしょうに？

A.2

市民しみん団体だんたいと共同きょうどうで調査ちょうさを行おこなった京都大きょうとだい学がく大学院だいがくいんの原田はらだ浩二こうじ准じゅん教授きょうじゅは、沖縄おきなわ県けんのアメリカ軍ぐん基地きち周辺しゅうへんの河川かせんや地下ちか水すいなどでPFOSなどが検出けんしゅつされたことから、去年きょねん、周辺しゅうへん住民じゅうみんの血液けつえき検査けんさを行おこないました。

多摩たま地域ちいきにも、横田よこた基地きちがあり、周辺しゅうへんの井戸水いどみずなどから検出けんしゅつされていることから、市民しみん団体だんたいと共同きょうどうで実態じったいの把握はあくを進すすめようと、今回こんかいの調査ちょうさを行おこなったということです。

Q.3

結果けっかは？

A.3

検査けんさを受うけた650人にんで検出けんしゅつされたPFOSとPFOAをあわせた血ち中ちゅう濃度のうどの平均へいきん値ちは14.6ナノグラムで、国くにがおととし、全国ぜんこくの3地点ちてんで行おこなった調査ちょうさの平均へいきん値ちのおよそ2.4倍ばいの血ち中ちゅう濃度のうどが検出けんしゅつされたということです。10人にん以上いじょうが検査けんさを受うけた20の自治体じちたいのPFOSとPFOAをあわせた平均へいきん値ちは以下いかのとおりです。

　　　　　人数にんずう　PFOS＋PFOA平均へいきん値ち

国分寺こくぶんじ市し　　84　23.2

立川たつかわ市し　　　47　19.0

武蔵野むさしの市し　　23　15.8

あきる野あきるの市し　19　15.2

調布ちょうふ市し　　　21　14.2

国立こくりつ市し　　　62　14.0

府中ふちゅう市し　　　47　13.9

小平こだいら市し　　　28　13.8

西にし東京とうきょう市し　　29　13.4

昭島あきしま市し　　　50　13.0

武蔵村山むさしむらやま市し　40　12.8

福生ふっさ市し　　　24　12.3

青梅おうめ市し　　　19　12.3

小金井こがねい市し　　22　12.2

東ひがし大和やまと市し　　17　11.6

羽村はむら市し　　　23　11.5

三鷹みたか市し　　　13　11.5

日野ひの市し　　　33　10.8

瑞穂みずほ町まち　　　18　9.6

八王子はちおうじ市し　　13　7.3

Q.4

検出けんしゅつされているのは横田よこた基地きち周辺しゅうへんだけなのか？

A.4

都との環境かんきょう局きょくや水道すいどう局きょくなどは、地下ちか水すいや井戸水いどみず、水道すいどう水すいの調査ちょうさを定期ていき的てきに行いっていますが、多摩たま地域ちいきに限かぎらず、都内とない各地かくちで、国くにの暫定ざんていの目標もくひょう値ちを超こえる値ねが検出けんしゅつされていて、調査ちょうさの結果けっかを、ホームページで公開こうかいしています。

PFASはかつて、幅広はばひろい用途ようとに使つかわれたことから国くには「環境かんきょう中ちゅうに残のこっているケースが多おおいと想定そうていされる」としています。

Q.5

各地かくちで検出けんしゅつされているとなると、不安ふあんを感かんじる人ひとも多おおいと思おもうが、都とはどのように対応たいおうしているのか？

A.5

都とは、国くにの暫定ざんてい目標もくひょう値ちの1リットルあたり50ナノグラムを超こえているところがないか計測けいそくし、超こえているところがあれば、監視かんし体制たいせいを強化きょうかしたり、井戸いどからの取水しゅすいを停止ていししたりして対応たいおうしています。また、専用せんようの電話でんわ相談そうだん窓口まどぐち（03－5989－1772 平日へいじつ：午前ごぜん9時じ～午後ごご5時じ）を設もうけています。都とによりますと、5月つき1日にちからスタートした窓口まどぐちには、1か月かげつ間かん（5月つき31日にちまで）で、およそ400件けんの相談そうだんがあったということです。

《主おもな相談そうだん内容ないよう》

1自分じぶんの住すむところの水道すいどう水すいに、どの程度ていど含ふくまれているのか。

2浄水じょうすい器きを取り付とりつけたり、ペットボトルの水みずを使用しようしたりした方ほうがいいか。

3健康けんこうへの影響えいきょうはどの程度ていどあるのか。

1や2について、こうした相談そうだんは全体ぜんたいの半分はんぶん程度ていどを占しめ、最もっとも多おおいということです。窓口まどぐちでは、自分じぶんが住すんでいる地域ちいきを伝つたえれば、都と水道すいどう局きょくが調査ちょうさを行おこなったデータをもとに、その地域ちいきの浄水じょうすい場じょうや蛇口じゃぐちの水道すいどう水すいの検査けんさ結果けっかを聞きくことができるということです。3については以下いかのように説明せつめいを行おこなっているということです。

▼PFOSやPFOAは日本にっぽん国内こくないでは健康けんこう被害ひがいは確認かくにんされていない。

▼免疫めんえき系けいや血液けつえき中ちゅうのコレステロールの値ねなどへの影響えいきょうが指摘してきされているが、どの程度ていどの量りょうでどのような影響えいきょうを及およぼすかは、現時点げんじてんで明あきらかになっていない。

▼国くにで科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづく議論ぎろんが進すすめられていて、この議論ぎろんの状況じょうきょうをもとに正ただしい情報じょうほうを提供ていきょうしたいなど。

国くにとしても、不明ふめいな点てんが多おおいことから、ことし1月つき、国くにの専門せんもん家か会議かいぎを立たち上あげ、現状げんじょうの把握はあくを進すすめています。不安ふあんを払拭ふっしょくするためにも早急そうきゅうに議論ぎろんを進すすめ、適切てきせつな情報じょうほうを発信はっしんしていく姿勢しせいが求もとめられています。