式しきではチャールズ国王こくおうが、イギリスと、元首げんしゅとなっているイギリス連邦れんぽうの14か国かこくを法ほうに基もとづき統治とうちすることを誓ちかったあと、イギリス国教こっきょう会かいの最高さいこう位いの聖職せいしょく者しゃであるカンタベリー大だい主教しゅきょうの祝福しゅくふくなどを受うけ、王冠おうかんが授さづけられます。

イギリスでは、記録きろく的てきなインフレによる生活せいかつ費ひの高騰こうとうや国王こくおうの次男じなん・ハリー王子おうじ夫妻ふさいが王室おうしつ内ないで人種じんしゅ差別さべつ的てきな発言はつげんをされたと述のべたことなどを背景はいけいに若わかい世代せだいを中心ちゅうしんに君主くんしゅ制せいを疑問ぎもん視しする声こえも上あがっていて、先月せんげつの世論せろん調査ちょうさで「君主くんしゅ制せいを支持しじする」と回答かいとうした人ひとは18歳さいから24歳さいでは32％と、共和きょうわ制せい支持しじの38％を下回したまわりました。

こうした中なか、式典しきてんの参列さんれつ者しゃはおよそ2200人にんとエリザベス女王じょおうの時ときの4分ぶんの1近ちかくに絞しぼられたほか、国王こくおう夫妻ふさいがバッキンガム宮殿きゅうでんとウェストミンスター寺院じいんの間まを馬車ばしゃで行き来いききするルートも大幅おおはばに短縮たんしゅくされていて、経費けいひを抑おさえるねらいがあるとみられます。

さらに式典しきてんにはさまざまな人種じんしゅやキリスト教きりすときょう以外いがいの宗教しゅうきょうの代表だいひょうも参加さんかし、主要しゅような役割やくわりを果はたします。

君主くんしゅ制せいの存在そんざい意義いぎが問とわれる中なか、簡素かんそで多様たよう性せいを重視じゅうしした戴冠たいかん式しきは新あらたに「イギリスの顔かお」となったチャールズ国王こくおうの変革へんかくへの決意けついを内外ないがいに示しめすものとなります。

これまで伝統でんとう的てきに歴代れきだいの国王こくおうや女王じょおうの戴冠たいかんが行おこなわれていて、1953年ねんには、エリザベス女王じょおうの戴冠たいかん式しきの会場かいじょうにもなりました。

王室おうしつにとって重要じゅうような儀式ぎしきが行おこなわれてきた場所ばしょで、▼ダイアナ元もと皇太子こうたいし妃ひの葬儀そうぎや、▼ウィリアム皇太子こうたいしの結婚式けっこんしきなども行おこなわれました。

去年きょねん9月つき、エリザベス女王じょおうの国葬こくそうが行おこなわれたのもウェストミンスター寺院じいんでした。

寺院じいんには、万有ばんゆう引力いんりょくの法則ほうそくを発見はっけんした科学かがく者しゃのニュートンや、作家さっかのチャールズ・ディケンズなど、イギリスの国くにや社会しゃかいを動うごかした重要じゅうよう人物じんぶつが埋葬まいそうされていて、イギリスの歴史れきしを語かたる上うえで欠かかすことのできない建造けんぞう物ぶつです。

ウェストミンスター寺院じいんは高たかさ30メートルあまりの美うつくしい天井てんじょうのアーチで知しられています。

寺院じいんのホームページによりますと、塔とうの高たかさはおよそ70メートル、全体ぜんたいの床ゆか面積めんせきはおよそ3000平方メートルへいほうめ-とるです。

およそ2000人にんを収容しゅうようすることができるということです。

寺院じいんは、上空じょうくうから見みると十字架じゅうじかの形かたちをしていて、戴冠たいかん式しきは十字じゅうじが交まじわる寺院じいんの中心ちゅうしん部ぶで行おこなわれるということです。

イギリス王室おうしつからは、国王こくおうの長男ちょうなんのウィリアム皇太子こうたいし夫妻ふさいや、国王こくおうの妹いもうとのアン王女おうじょ、弟おとうとのエドワード王子おうじなどが参列さんれつします。

また3年ねん前まえに王室おうしつの公務こうむから退しりぞき、現在げんざいはアメリカで生活せいかつしている次男じなんのハリー王子おうじも出席しゅっせきする予定よていだとイギリス王室おうしつが明あきらかにしています。

一方いっぽう、妻つまのメーガン妃ひは欠席けっせきする予定よていだということです。

ウィリアム皇太子こうたいし夫妻ふさいの長男ちょうなんジョージ王子おうじ（9）は「ページ・オブ・オナー」として少年しょうねん7人にんとともに国王こくおう夫妻ふさいの長ながいローブのすそを持もつ役目やくめを務つとめます。

スナク首相しゅしょうをはじめ、イギリスの閣僚かくりょうや国会こっかい議員ぎいんも参列さんれつするほか、イギリス王室おうしつはおよそ100人にんの国家こっか元首げんしゅを含ふくむ203か国かこくの代表だいひょうが参列さんれつするとしています。

各国かっこくの発表はっぴょうや報道ほうどうによりますと、▼オランダのウィレム・アレキサンダー国王こくおう、▼スウェーデンのグスタフ国王こくおう、▼スペイン国王こくおうのフェリペ6世せいなどイギリス王室おうしつの親類しんるいを含ふくむ王族おうぞくの参列さんれつが予定よていされています。

日本にっぽんの皇室こうしつからは秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいが参列さんれつされます。

また、「コモンウエルス」と呼よばれるイギリス連邦れんぽうの加盟かめい国こくからは、▼オーストラリアのアルバニージー首相しゅしょう、▼ニュージーランドのヒプキンス首相しゅしょうなどが参列さんれつする見込みこみです。

このほか主おもな外国がいこくの首脳しゅのうとしては▼EU＝ヨーロッパ連合れんごうのフォンデアライエン委員いいん長ちょうとミシェル大統領だいとうりょう、▼フランスのマクロン大統領だいとうりょう、▼ポーランドのドゥダ大統領だいとうりょう、▼ブラジルのルーラ大統領だいとうりょうなどが参列さんれつする見込みこみです。

またアメリカからはバイデン大統領だいとうりょうの代かわりにファースト・レディーのジル・バイデン氏しが、中国ちゅうごくからはことし就任しゅうにんした韓かん正ただし国家こっか副ふく主席しゅせきなど、幅広はばひろい国くにから代表だいひょうが送おくられる見込みこみです。

一方いっぽう、ロイター通信ろいた-つうしんはロシアやベラルーシ、イラン、ミャンマーなどの首脳しゅのうには招待しょうたい状じょうを送おくっていないと伝つたえています。

さらに戴冠たいかん式しきには、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいに伴ともなうロックダウン中ちゅう、地元じもとの人ひとたちの支援しえんに尽力じんりょくするなど、慈善じぜん事業じぎょうなどで功績こうせきがあった450人にんが招まねかれています。

公共こうきょう放送ほうそうBBCによりますと▼ロンドンの家庭かていに食品しょくひんを届とどける事業じぎょうを行おこなった70代だいの夫婦ふうふや、▼自宅じたくの庭にわで3年間ねんかん、テント暮くらしを行おこなってホスピスへの寄付きふを呼よびかけ、日本にっぽん円えんにして1億おく2000万まん円えんあまりを集あつめた少年しょうねんが含ふくまれるということです。

「聖ひじりエドワードの王冠おうかん」は1661年ねんに作つくられたもので、伝統でんとう的てきに戴冠たいかん式しきのときのみ着用ちゃくようされてきました。

イギリス王室おうしつによりますと、王冠おうかんのフレームは純金じゅんきん製せいで、ルビーやアメジスト、サファイア、ガーネットなどの大おおきな宝石ほうせきで飾かざられ、上部じょうぶにある十字架じゅうじかと宝珠ほうしゅはキリスト教きりすときょうの世界せかいを象徴しょうちょうしているということです。

高たかさはおよそ30センチ、重おもさは2キロほどにもなるということです。

王室おうしつの宝物ほうもつが保管ほかんされているロンドン塔とうに収蔵しゅうぞうされていますが、チャールズ国王こくおうの戴冠たいかん式しきに向むけて、去年きょねん12月つきからサイズの調整ちょうせいなどが進すすめられていました。

戴冠たいかん式しきの終おわりに、チャールズ国王こくおうは伝統でんとうにのっとって「聖ひじりエドワードの王冠おうかん」に換かえて「大だい英えい帝国ていこく王冠おうかん」を着用ちゃくようすることになっています。

「大だい英えい帝国ていこく王冠おうかん」もイギリス王室おうしつの王位おういを象徴しょうちょうする「レガリア」のひとつで、現在げんざいの王冠おうかんは1937年ねんに作つくられたものです。

王室おうしつによりますと、王冠おうかんはおよそ3000個この宝石ほうせきで飾かざられているということで、中央ちゅうおうに施ほどこされた317カラットのダイヤモンドは世界せかい最大さいだいの原石げんせき「カリナン」から切り出きりだされた貴重きちょうなものです。

また、戴冠たいかん式しきでカミラ王妃おうひが着用ちゃくようする冠かんむりは、1911年ねんにチャールズ国王こくおうの曽そ祖母そぼにあたるメアリー王妃おうひが着用ちゃくようしたものが使つかわれることになっています。

王室おうしつによりますと、王妃おうひが既存きそんの冠かんむりを使つかうのは18世紀せいき以降いこうでは初はじめてのことで「持続じぞく可能かのう性せいと効率こうりつ性せいの観点かんてんから選えらばれた」ということです。

また、この冠かんむりには「コイヌール」と呼よばれる世界せかい最大さいだい級きゅうのダイヤモンドが埋め込うめこまれていましたが、19世紀せいきにインドから持ち出もちだされたものだとされ、所有しょゆう権けんをめぐって論争ろんそうにもなっていました。

そのため、今回こんかいの戴冠たいかん式しきではこのダイヤモンドに代かわり、生前せいぜんエリザベス女王じょおうが愛用あいようしていたダイヤモンドがあしらわれるということです。

イギリス王室おうしつによりますと、「戴冠たいかん宝たから器き」は王冠おうかんやしゃく、宝珠ほうしゅ、剣けんなどあわせて100点てん以上いじょうあり、その中なかでも王位おういなどを象徴しょうちょうする上うえで特とくに重要じゅうような意味いみを持もつものは「レガリア」と呼よばれています。

レガリアには、戴冠たいかん式しきでだけ使用しようされる「聖ひじりエドワードの王冠おうかん」や式しきの終おわりに君主くんしゅに授さづけられる「大だい英えい帝国ていこく王冠おうかん」などがあります。

また、70年ねん前まえにエリザベス女王じょおうが戴冠たいかん式しきの終おわりに右手みぎてに持もっていたしゃくや左手ひだりてに乗のせていた宝珠ほうしゅもレガリアです。

このうちしゃくについているひときわ大おおきなダイヤモンドは、世界せかい最大さいだいの原石げんせき「カリナン」から切り出きりだされた貴重きちょうなものです。

このほかにも戴冠たいかん式しきでは数多かずおおくの「戴冠たいかん宝たから器き」が披露ひろうされてきましたが、その中なかには歴史れきし的てきな背景はいけいから所有しょゆう権けんなどを巡めぐって論争ろんそうの的まとになっているものがあります。

王冠おうかんに埋め込うめこまれた「コイヌール」と呼よばれる105.6カラットのダイヤモンドは、イギリスが19世紀せいきに現在げんざいのインドやパキスタンなどにまたがる地域ちいきを併合へいごうした際さいに持ち帰もちかえったものだとされています。

イギリスの複数ふくすうのメディアによりますと、このダイヤモンドについてインド政府せいふの関係かんけい者しゃが「植民しょくみん地ち時代じだいのつらい記憶きおくを思い起おもいおこさせる」として、戴冠たいかん式しきでの使用しように懸念けねんを表あらわしたということです。

「コイヌール」が埋め込うめこまれた王冠おうかんは、今回こんかいの戴冠たいかん式しきではインドなどとの摩擦まさつを避さけるため使つかわれない見通みとおしだと伝つたえられています。