プーチン大統領は16日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開かれた「国際経済フォーラム」の全体会合で、反転攻勢をめぐる司会者の質問に対し「ウクライナ軍はその目的を達成できていない」と述べ、ロシアが撃退していると重ねて主張しました。
そして、ウクライナは長期戦で自国の軍備を使い果たすとした上で「彼らの兵器はすべて外から持ち込まれたもので、それでは長く戦えない。ウクライナ軍に勝ち目はない」と主張して、強気の姿勢を示しました。
また、ロシアのことしのGDP=国内総生産は最大で2%まで成長する見通しだと主張したうえで「これによって、ロシア経済は世界の主要国の中での地位を維持できる」と述べ、欧米の経済制裁が強化される中でも、ロシアは経済面でも存在感を示していくと強調しました。
その上で「ロシアが核兵器を使用する準備を進めているという兆候は見られない」と述べ、アメリカの核の態勢を変更する理由は見当たらないとする見解を示しました。 また、ホワイトハウスの報道担当者は記者団に対し「プーチン大統領による、核に関するこのような発言は非常に無責任だ」と述べて非難するとともに、アメリカとしてNATO=北大西洋条約機構加盟国の防衛への関与は揺るぎないと改めて強調しました。
侵攻を続けるロシアに対し、欧米など各国は経済制裁を強め、ロシア市場から国際的な企業の撤退が相次いでいます。 こうした状況についてロシア科学アカデミーの中国・現代アジア研究所、キリル・ババエフ所長は「ロシアビジネスを東方に方向転換させ、新たなパートナーとしてアジア、アフリカ、ラテンアメリカを模索している。去年からこの動きが加速している」と指摘しました。 そのうえでロシアが期待する中国について「中ロ関係は発展の最高潮にある。中国のロシアへの姿勢は、リスクに対する懸念から可能性への期待に移行している。中国の政権側からロシアとビジネスしてもよいというシグナルがみられる」と述べ、欧米の制裁が強まる中でも中国側からも経済協力の動きが進んでいるという認識を示しました。 また「グローバル・サウス」との関係について「かつてソビエトはアフリカ市場に非常に積極的だったが、ロシアは現在、この流れに復帰しようとしている」と指摘しています。 さらに、欧米による制裁でロシアがドル決済から締め出される動きを踏まえて「国際間の決済でBRICS=新興5か国はドルをやめた決済に移行しようと積極的に協議している。近いうちに何らかの決定が生まれる可能性もある」と述べ、アメリカに対抗してロシアや中国などが加わるBRICSの通貨で決済するシステム作りが進むという見方を示しました。
国防費増額の方針示す
米国務長官「ロシア 核兵器使用の兆候ない」
専門家「新興国・途上国との関係強化を加速」