国連こくれんの活動かつどうは深刻しんこくな資金しきん不足ふそくに直面ちょくめんしていて、食料しょくりょう配給はいきゅうなどの継続けいぞくが危あやぶまれる事態じたいとなっています。

チャド東部とうぶのスーダンとの国境こっきょう沿ぞいの地域ちいきには、戦闘せんとうが続つづくスーダン西部せいぶのダルフール地方ちほうから、連日れんじつ多おおくの人ひとが家畜かちくのロバに荷物にもつや子こどもをのせるなどして歩あるいて避難ひなんしてきています。

UNHCR＝国連こくれん難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かん事務所じむしょによりますと、武力ぶりょく衝突しょうとつが始はじまってからの1か月かげつ間かんで、チャドに避難ひなんしてきた人ひとの数かずはこれまでにおよそ6万まん人にんにのぼるということです。

ダルフール地方ちほうでは、アラブ系けいとアフリカ系けいの住民じゅうみんの対立たいりつが長年ながねん続つづいていて、2000年代ねんだい初頭しょとうにはおよそ30万まん人にんが死亡しぼうする紛争ふんそうとなり、「世界せかい最悪さいあくの人道じんどう危機きき」ともいわれました。

準じゅん軍事ぐんじ組織そしきのRSF＝即応そくおう支援しえん部隊ぶたいはその時ときのアラブ系けいの民兵みんぺい組織そしきが前身ぜんしんとなっていて、ダルフール地方ちほうでもスーダン軍ぐんとの衝突しょうとつが繰り返くりかえし起おきています。

また、混乱こんらんが深ふかまる中なか、民族みんぞく間かんの対立たいりつが再ふたたび高たかまることが強つよく懸念けねんされています。

8人にんの子こどもを持もつハウワ・アタヒルさん（50）はアラブ系けいの武装ぶそうグループが村むらを襲おそいに来くると聞きき、わずかな日ひ用品ようひんを除のぞいてほとんど何なにも持もたずに逃にげてきたということです。

チャドに来きて2週間しゅうかんほどがたちますが、気温きおんが40度どを超こえる厳きびしい暑あつさの中なか、屋外おくがいでの暮くらしを余儀よぎなくされていて、地面じめんにさした木きの枝えだに布ぬのを張はり、日差ひざしを避さけながら、過すごしています。

この地域ちいきではまもなく雨期うきを迎むかえますが、ハウワさんたちは雨あめや風かぜを防ふせぐすべがないまま生いきていけるのか不安ふあんを募つのらせているということです。

ハウワさんは「もっともつらいのは食べ物たべものが手てに入はいらないことです。わずかな食料しょくりょうを子こどもたちと分け合わけあってなんとか暮くらしています。もうすぐ雨あめが降ふり始はじめるので住すむ場所ばしょを見みつけなければなりませんが、ここでは仕事しごともできず家族かぞくを守まもることができません」と話はなしていました。

WFP＝世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくは、避難ひなんしてきた人ひとたちに緊急きんきゅうの食料しょくりょう支援しえんを行おこなっていて、NHKのクルーがスーダンとの国境こっきょう地帯ちたいを訪おとずれた際さいにも穀物こくもつや油あぶら、それに子こどもや妊娠にんしん中ちゅうの女性じょせいのための栄養えいよう食しょくなどを配くばっていました。

一方いっぽうで、穀物こくもつ価格かかくが高騰こうとうしていることもあり、WFPは深刻しんこくな資金しきん不足ふそくに直面ちょくめんしていて、国際こくさい社会しゃかいからの資金しきん提供ていきょうがなければ今月こんげつ中ちゅうにもチャドでの支援しえんを停止ていしせざるを得えないとしています。

WFPチャド事務所じむしょのピエール・オノラ代表だいひょうは「避難ひなんしてきた人々ひとびとは多おおくの困難こんなんに直面ちょくめんしていて、栄養えいよう不足ふそくは極きわめて深刻しんこくです。しかし、資金しきんはまったく足たりず支援しえんができない事態じたいになれば本当ほんとうに恐おそろしいことになります」と話はなしていました。