ネットで
簡単に
海外から
取り寄せられる
かわいい子供服。
でも、そのかわいい服のひもが事故につながることがあるって知っていましたか?
ほかにも、日常のさまざまな場面に、“こどものキケン”が。
子どもが大好きな甘くて大きいぶどうは、のどに詰まってしまうおそれも。
自宅のベランダも、決して安全ではありません。
身近に潜む“こどものキケン” 知っていればきっと救える命もあります。
(大阪放送局 記者 中本史)
子どもがベランダの手すりの上に…
「あ、
落ちる!」
大阪府に住む40代の男性は、目の前で起きていることが信じられませんでした。
去年9月、マンションの6階の部屋から外をふと見ました。すると、6歳の息子がベランダの手すりの上に足を乗せてしゃがみ込んでいる姿が目に飛び込んできました。
男性「何が起きているのかわからない感じでした。心臓が止まりそうになって、とにかく落ちないでくれ、という思いで必死でした」
男性が思わず叫ぶと、子どもは声に驚いてビクッと体を動かし、バランスを崩しかけました。これはまずいとすぐに近寄り、抱き抱えました。
無事に室内に連れ戻すことができましたが、その日は心臓がバクバクと鼓動を打ち、夜も眠れなかったといいます。
男性はふだんから
植木鉢や
洗濯カゴ
など踏み台に
なるようなものは、ベランダに
置かないようにしていたといいます。
それなのに、子どもは手すりにのぼってしまいました。
建築基準法で定められている、2階以上のベランダの安全上必要な手すりの高さは110センチ。マンションは築5年ほどで、この基準は満たしていました。男性は、安全性に十分配慮されたベランダだと信じて疑いませんでした。
踏み台がなくても子どもはよじ登る
しかし、
意外な
調査結果がありました。
去年、子どもの事故防止に取り組むNPO「Safe Kids Japan」が産業技術総合研究所と共同で実験したところ、3~6歳児116人中89人、実に76%の子どもが、120センチの高さを自力でのぼりました。
室外機など踏み台に
なるようなものがなくても、
子どもたちは
自分の
身長を
超える高さの
手すりをのぼって
しまうことが
分かりました。
男性
「まさか、子どもがのぼれるなんて思いもしなかった。安全基準を満たしているから大丈夫だと思っていた」
なくならない不慮の事故
日常生活で
起きる不慮の
事故で
亡くなる14
歳以下の
子どもの
人数は
交通事故を
除いても
全国で
年間およそ200
人。
過去5
年間の
内訳を
見ると、
最も多い死因は、
ベッドと
壁の
間に
頭が
挟まったり、
食べ物や
おもちゃをのどに
詰まらせたりする「
窒息」でした。
2番目は風呂場や川・ため池・海などで溺れる「溺水(溺死)」、3番目はベランダなどからの「転落」でした。
さらにケガも含めた人数をみると、救急搬送された12歳以下の子どもは東京都内だけで1万2300人にのぼります。(東京消防庁 令和2年)
親がひやりとした体験は、日々どこかで起こっているのです。
子供服のひものリスク 知っていますか?
しかし、
そのリスクについては
あまり知られていません。
たとえば子供服。日本では2015年に子供服に安全基準・JIS規格が作られました。
13
歳未満の
子供服には、フードのひもや、
ズボンのすそのひも、
背中のひも
などは
付けられなくなりました。
ひもが遊具や自転車の車輪にひっかかり、ころんだり、首が絞まったりする事故につながるためです。
しかし今、インターネットの
通販サイトでは“
規格外”の
海外製のもの、フリマサイトでは“
規格が
作られる
前”に
生産された
中古の
服を
購入できます。
リスクがある服とは知らないうちに簡単に手に入ってしまう現状になっているのです。
大きなぶどうがのどに詰まるリスクも
また、
子どもの
大好物にもリスクがひそんでいます。
2年前に東京都内で園児がのどに詰まらせて亡くなる事故が起きた、ぶどう。
昔に
比べて
大きい品種が
人気ということで、
品種改良が
進み
大粒化しています。
のどに詰まらせるリスクが高くなり、親世代が子ども時代に食べていた大きさの感覚でいると危険です。
リスクを伝えたい 動き始めた専門家
こうしたリスクをSNSで
伝える取り組みを
始めた
人がいます。
子どもの事故の研究を進めている岡真裕美さん。
例えば、大きなぶどうは4つに切って食べさせるようにと情報発信しています。
中高生の
子ども2
人を
育てている
岡さん。
多くの
親が、
子どもの
周囲に
潜む危険についての
情報を
得る機会が
少ないと
感じています。
大阪大学大学院人間科学研究科 岡真裕美 研究員「ケガで済んだと言っても、骨折したり指を切断したり、取り返しのつかないケガもある。子どもの日常で起きる事故は、周囲の大人が事故原因のリスクを事前に知っていたら防げる可能性が高まるのに、知らなかったために防げなかった、ということが起こっているんです」
母子手帳や
消費者庁のホームページ
などには、
子どもの
事故防止についての
情報が
掲載されていますが、
岡さんは、
探しにくかったり、
文字情報が
多くて
見にくかったりすると
感じていました。
このため複数のSNSで、さまざまな場面に潜む身近な危険を紹介する情報発信を始めました。
こうした
情報をまとめた
本作りにも
取り組んでいます。
マンガを
取り入れることで、
若い世代の
親たちにも
親しみやすい
工夫をし、
誤飲や
水の
事故、
転落事故など、
身近な
危険について、
およそ30
種類の
ケースを
紹介。
ことし6月の完成を目指し、同僚の中井宏准教授と執筆を分担して進めています。
クラウドファンディングで出版に必要な経費を集め、子育て関連の施設などに無料で配布する予定です。
大阪大学大学院人間科学研究科 岡真裕美 研究員「この1冊を、パラパラと気軽に手に取って見るだけで、いろいろな情報が手に入る。すると、日常のさまざま場面で、ちょっと気をつけよう、と意識してもらえる。それが、日々の事故防止につながると思っています」
変わる豆まきの豆NG年齢 注意喚起も変化
ただ、
本を
作ることが
ゴールではないといいます。
子どもの
周りに
潜む危険は、
常に変化するからです。
去年2
月、SNSで「5
歳までは
豆まきの
豆は
食べさせないで」と
呼びかけた
時のこと。
「食べさせていました」
「5歳までだめとは知らなかったです」
親たちからは知らなかったという反応が次々に寄せられました。
豆類については、2018
年に、
消費者庁から「3
歳以下には
食べさせない」という
注意喚起が
出ていました。
子どもが
豆をのどに
詰まらせるからです。
ところが、その3年後の2021年。「5歳以下には食べさせない」と、年齢が引き上げられました。4歳の子どもがのどに詰まらせ死亡した事故があったためです。
更新された重要な情報が親たちに届いていないことに、岡さんは危機感を募らせています。
岡さんは、本の内容をインターネットでも公開し、新たな情報が出てくるたびに情報を更新し「不慮の事故」が1つでも減ることにつながってほしいと考えています。
大阪大学大学院人間科学研究科 岡真裕美 研究員「時代とともに新たな危険は出てくるし、社会の変化に合わせて、子どもを取り巻く危険もどんどん変化していく。本を1回作ったとしてもそれでゴールではないと思います。子どもの危険にまつわるさまざまな情報を、常に更新して、見やすくわかりやすく発信するプラットフォームを作っていきたい」
不慮の事故減らしたい
実は岡さんは、10
年前に
夫を
亡くしています。
当時34歳だった夫は散歩中、小中学生3人が川でおぼれていたところを発見し、救出しようとして命を落としました。
なぜ子どもたちがおぼれてしまったのか。夫は命を失ったのか。
その理由を調べると、浅く見える川でも実は深みがあって、その危険性が周知されていなかったことが分かりました。
知っていれば救われる命がある。岡さんが子どもの事故について研究を続ける原点です。
知ってる?こどものキケン
NHK
大阪放送局は
岡さんが
所属する
大阪大学大学院の「
子どもの
安全ラボ」
などと
連携し、“
知ってる?こどものキケン”というサイトを
立ち
上げました。
子どもの危険に関する記事や最新情報を更新し、危険性を分かりやすく伝える動画の配信も行います。
知ってる?こどものキケン
震度7と誤発表の原因 “7時間前の震度7と一連の地震” と処理
能登半島地震が起きた元日の夜遅くに、気象庁が誤って石川県で震度7の揺れを観測したと発表したことについて、気象庁が原因を調べた結果、システムに不備があり、この時の地震とおよそ7時間前の震度7の地震を「立て続けに起きた一連の地震」として誤って処理していたことが気象庁への取材で分かりました。
Source: NHK
Mar 29, 2024 09:03
政府 シェルターの整備方針決定 沖縄の5市町村に新施設
有事に備え、政府は、住民を守るシェルターの整備方針を決めました。沖縄の5つの市町村に堅ろうな構造の新たな施設を作るほか、全国に5万か所以上ある一時的な避難施設もシェルターと位置づけ、設備の拡充を検討するとしています。
Source: NHK
Mar 29, 2024 09:03
石川 市外避難の園児保護者“輪島や珠洲で保育を” 市が対応へ
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市と珠洲市が市外に避難している園児の保護者に調査したところ、新年度の来月以降、輪島市で7割以上、珠洲市で6割近くの保護者が、市内に戻り保育施設に通わせたい意向を示したことが分かりました。保育士が不足している施設もあり、市が対応を始めています。
Source: NHK
Mar 29, 2024 04:03
「子ども・子育て支援金」であなたの負担はどうなる?
加入者1人あたり平均月350円~600円。子どもなど扶養されている人を除いた「被保険者」で試算すると最も高い場合は950円。少子化対策の一環として、政府が公的医療保険を通じて集める「子ども・子育て支援金制度」。医療保険の種類ごとの「支援金額」の試算が初めて公表された。一方、政府は支援金による「実質的な負担はゼロ」と説明する。与野党双方から「わかりにくい説明だ」という声が上がっているが、本当に新たな負担にはならないのだろうか。(三藤紫乃、高橋太一、鹿野耕平)
Source: NHK
Mar 29, 2024 04:03
「嫡出推定」の制度 4月1日から変更へ “周知図る”小泉法相
妊娠や出産の時期によって父親を推定している「嫡出推定」の制度が来月1日から変わり、再婚している場合は、離婚から300日以内に生まれた子どもでも、今の夫の子と推定されることになります。小泉法務大臣は、新しい制度のもとで子どもを不安なく育ててほしいとして周知を図っていく考えを示しました。
Source: NHK
Mar 29, 2024 04:03
小林製薬「紅麹」問題 死亡判明は5人に 会社は午後会見へ
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、会社は新たに1人について亡くなる前に「紅麹コレステヘルプ」を摂取していたと遺族から連絡があったことを発表しました。これで製品を摂取した後に死亡したことが分かった人は5人となり、会社は29日午後、記者会見を開くことにしています。※記事後半に「回収対象」となっている製品の一覧表をまとめています。
Source: NHK
Mar 29, 2024 04:03
賭け屋男性“大谷選手の名前 送金元口座にあると把握”米報道
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平氏が違法賭博に関わっていたとされる問題で、アメリカのメディアは、水原氏と関係があったとされる賭け屋の男性は、大谷選手の名前が送金元の口座にあることを把握し、ほかの賭博の参加者に自慢していたなどとする関係者の話を伝えました。
Source: NHK
Mar 29, 2024 00:03
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