東京地検特捜部などによりますと、この会社はおととし4月、前年度の売り上げの予想を14億円余り下方修正することを公表しましたが、栗尾元副社長は、その直前に、この会社の株を保有していた知人の女性2人に株を売却するよう勧めたとして、金融商品取引法違反の取引推奨の疑いが持たれています。
知人2人は、この情報が公表される直前に合わせて1億8000万円分にあたる、およそ1万1000株を売却したということです。
1万6000円台だったこの会社の株価は、公表の翌営業日には1万3000円台に下落していて、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会は、元副社長が損失を回避させる目的で2人に株の売却を勧めたとみて、実態解明を進めるものとみられます。
関係者によりますと、元副社長は逮捕前の任意の調べに対し、容疑を認めていたということです。
「アイ・アールジャパンホールディングス」は、企業買収のアドバイスや、アクティビストと呼ばれる「もの言う株主」などへの対応などを手がける企業グループの持ち株会社で、ことし3月期の売り上げはおよそ60億円に上っています。
ここ数年、活発化しているアクティビストと呼ばれる「もの言う株主」などへの対応や、買収に関する提案など、企業向けのコンサルティング業務で業績を伸ばしています。 会社のホームページなどによりますと、株主名簿で金融機関などの名義となっている株主の実態を調査するサービスや、アクティビストからの大規模な株の買い付けに対して企業に防衛策を助言する業務などを行っていて、主要な取引先は国内の上場企業など、およそ400社に上るということです。 去年3月期の売り上げはおよそ84億円で、5年間で倍増しましたが、去年、今回の事件をめぐり証券取引等監視委員会から強制調査を受け、ことし3月期の売り上げは60億円余りと、前の年の同じ時期からおよそ28%減少しました。 栗尾元副社長が逮捕されたことについて「アイ・アールジャパンホールディングス」は、「このような事態に至りましたことは、極めて遺憾であり、関係者の皆様にご迷惑とご心配をお掛けしますことを深くおわび申し上げます」などという内容のコメントを発表しました。
コンサル会社「深くおわび申し上げます」