宮城県石巻市と
女川町にある
東北電力女川原子力発電所は1
号機から3
号機まであります。
いずれも東京電力福島第一原発と同じく、水を沸騰させた水蒸気でタービンを回して発電する「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原子炉です。
このうち1号機は2011年の東日本大震災で当時、営業運転中で大きな揺れで自動停止し建屋では一時、火災が起きるなどしました。
原子炉の冷却は維持されました。
その後、東北電力は安全のための設備を追加で設置するには、技術的な制約があることなどから2018年10月に廃炉にすることを決めました。
今回の裁判の対象となった2号機は、震災が発生した際、定期検査中で、大きな揺れにより自動停止しました。
その後の津波で建物の地下が浸水しました。原子炉の冷却は維持されました。
東北電力は2013年12月、2号機の再稼働に向けた国の審査を申請し、2020年2月に合格しました。
さらにこの年の11月には地元・宮城県の村井知事が再稼働への同意を表明しています。
また、国の原子力規制委員会は最大規模の津波の予測が妥当かどうかなどを審査し、認めてきた上でことし2月、事故を防ぐための安全管理体制などを定めた「保安規定」の変更を認可しました。
東北電力は再稼働に必要な国の許認可をすべて受けたことになり、来年2月の再稼働に向けてことし11月までに津波を防ぐための防潮堤などの安全対策工事を完了させることにしています。
一方、3号機は、震災当時、営業運転していて、地震の大きな揺れで自動停止しました。原子炉の冷却は維持され、安全な状態を保ちました。
東北電力は3号機を将来的に再稼働させる方針ですが具体的な見通しは立っていません。
避難計画の内容は
原発事故が
起きた
場合に
備えて
原発からおおむね30
キロ圏内の
自治体には
避難計画を
策定することが
義務づけられていて、
女川原発については、
圏内に
ある宮城県の7つの
市と
町で、
避難計画が
策定されています。
計画では、原発で重大な事故が起きた場合、女川原発から5キロ圏内の女川町と石巻市の一部の住民およそ1100人は放射性物質が外に放出される前の段階から周辺の大崎市と栗原市に避難することにしています。
また、5キロから30キロ圏内に住む7つの市と町の住民の19万7000人余りは、放射性物質が外に放出されたあとに、放射線量に応じて段階的に避難することにしています。
それまでは、まず屋内退避を行ったあと、避難指示が出たら避難を開始するとしています。
避難は原則、自家用車で行い、高齢者など自家用車での避難が難しい住民は一時集合場所に集まり、県などが用意したバスで避難することになっています。
そして、原発からおおむね30キロの場所にあらかじめ指定された最大21か所の公共施設などに開設される「検査場所」で、放射性物質が付着していないか確認する必要があり、検査で、放射線量が基準値を超えた場合は、除染が行われるとされています。
そこで問題がなければ住民は「避難所受付ステーション」に行き、避難所が割り当てられ、そこに向かうことになります。
こうした避難計画を含めた緊急時の対応については、内閣府や宮城県などが参加し、東北電力もオブザーバーとして関与する女川地域原子力防災協議会でその内容について話し合い、具体的で合理的であることを2020年3月に確認していて、その結果をもとに2020年6月に政府の原子力防災会議が了承していました。
裁判の争点は
今回の
裁判で
原告側は
原発の
運転の
差し止めを
求める理由を「
避難計画の
不備」に
絞っています。
原発の運転差し止めなどをめぐって全国で起こされている裁判では多くの場合、原発そのものの安全性などを中心に審理されていて、原告側によりますと避難計画だけで争うのは今回が初めてだということです。
原告側は避難計画に限定した理由を▽科学論争を回避できることや▽住民の常識で計画の不備を判断できることなどをあげています。
このため裁判ではまず、避難計画の不備だけをもって原発の運転差し止めを求めることができるのかどうか。次に、できるとした場合、女川原発の避難計画は不備があるのかどうかが争点となりました。
最初の争点について原告側は「東京電力・福島第一原子力発電所の事故で住民が避難する際に混乱し多くの犠牲が出たにもかかわらず教訓がいかされていない。住民の生命など守られるべき権利である人格権が侵害される」として避難計画が不十分であれば原発の差し止めは認められるべきだと主張しました。
これに対し、東北電力側は「避難の前提となる放射性物質が異常に放出される事故が起きる具体的な危険性を原告側は主張立証していない」として差し止めを求めることはできないと主張しました。
次に女川原発の避難計画について原告側は「放射性物質が付着していないか確認する検査場所の設置や高齢者などが避難するためのバスの確保で具体的な計画が決まっていないなどの実効性を欠いている。避難計画の不備で住民の避難が遅れ、被ばくにさらされる」と主張しています。
これに対し、東北電力は、「すでに各自治体で避難計画は策定されており、女川地域原子力防災協議会で内容が具体的かつ合理的であると確認され、国からも了承されている。改善点があるとしても常に見直しをするので実効性がないとは言えない」と主張しています。
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