価格は統計が公表されている1993年以降最も高くなった4月から横ばいとなり、4か月連続の最高値となりました。
農林水産省によりますと、例年、卵の価格はクリスマスケーキやおせち料理向けの需要が多い12月をピークに下がる傾向にあります。
ただ、今シーズンはロシアによるウクライナ侵攻の影響でとうもろこしなどの飼料価格の高騰が続いています。
農林水産省によりますと国内の養鶏場では4月8日以降、鳥インフルエンザの発生は確認されていません。 また一部の養鶏業者は出荷を再開していますが、農林水産省は卵の供給が回復するまでには1年ほどかかる可能性があるとしています。
しかし、仕送りやバイト代などで生活する学生も多いことから、値上げ幅は10円から20円程度と最小限に抑えたということです。
温泉卵の購入を学生自身が選択できるようにするとともに、メニュー自体の価格上昇を最小限に抑えるためだとしています。 しかし、卵を使ったメニューは人気で販売量も多いため、値上げ幅を最小限に抑えている現状では、利益を押し下げる一因になっているということです。 食堂を利用している3年生の学生は「500円以下のメニューが多いので助かります。値上げも気づきませんでした」と話していました。
この店では、毎週火曜日にSサイズの卵が10個入ったパックを従来の価格より30円ほど安く販売する特売を行っていて、5月30日も開店と同時に多くの買い物客が訪れていました。 スーパーによりますと、特売による利益はほとんど出ないということですが、特売を目当てにした来店客も多いことから、今後も続けることにしています。 買い物に来た30代の女性は「価格が高いので卵を食べる頻度は減りました。お菓子を作るときは豆腐で代用するなどしています。ここは安いので助かります」と話していました。 また、そば屋を営む60代の男性は「安いスーパーを探して回っています。カツ丼などお店で卵をよく使うので価格が高いと困ります」と話していました。
その原因となった鳥インフルエンザの感染は、去年7月以降、北米やヨーロッパ、それにロシアやインドなど、世界の広い地域で確認されています。 とりまとめた農林水産省は、「これまでにない規模の感染状況だ」としています。
世界有数のニワトリの生産国ですが、これまでのところ、ニワトリへの鳥インフルエンザの感染は確認されていません。 このため、日本の企業の間では、ブラジルからの卵の輸入を増やす動きが相次いでいます。
また、業務用の液卵の専業メーカーで最大手のイフジ産業は、国内だけで原料を調達するには限界があるとして、原料の8%程度をブラジル産に切り替える計画です。 財務省の貿易統計によりますと、パンや菓子などに加工される殻付きの卵のブラジルから日本への輸入量は、感染拡大前の去年4月はわずか38キロでしたが、ことし4月は、406トンあまりと大幅に増えています。 ただ、世界各国からの引き合いもあって、ブラジル産の卵の卸売価格は上昇しています。
この価格は、国産の卵と比べて2割ほど高い価格です。 さらに、ブラジルでは、5月になって鳥インフルエンザの野鳥への感染が新たに確認されました。 今後、仮に、ニワトリへの感染が確認された場合は、輸入への影響も懸念されます。 国産の卵の供給不足をブラジルからの輸入で補う手段がどこまで有効になるかは不透明となっています。
このなかで信岡さんは、鳥インフルエンザの世界的な感染について「アメリカやヨーロッパだけですでに1億羽を超えるニワトリの処分を行っていて、鳥インフルエンザの発生が止まらない状況だ。渡り鳥が飛来する時期が過ぎても、国内にいる野鳥がウイルスを持っている状況が続くとみている。ウィズコロナではないが、どのようにしてウイルスと共存していくのか、深刻に捉えている」と述べ、感染の広がりが長期化する可能性を指摘しました。 また、卵の需給や価格の見通しについては「処分したニワトリの供給が回復するには1年近くかかることに加えて、海外から輸入したくても十分にはできない厳しい状況が続いている。餌やエネルギーのコストが下がるめども立っていないため、以前のように1パック100円のような特売にはならず、生産者もそうした販売に耐えられる体力はない。今後も1パック300円程度の高値が続くとみている」と述べました。
大学食堂で卵を使ったメニュー値上げ
卵の特売を続けるスーパーも
卵の供給不足 世界各国に広がる
専門家「今後も高値が続く」