保健所は「
発生届」を
受理したあと、
その情報をもとに
感染者に
電話で
連絡をとり、
体調の
確認などを
行う役割を
担っています。
しかし、入力が必要な「発生届」の書類があまりにも多かった上、1人あたりの電話も長い時間を要していたため、作業が追いつかず、「ファーストコンタクト」と呼ばれる感染者への対応が滞ってしまいました。
「発生届」を受理してから一度も連絡できないまま療養期間を終えた感染者は、およそ2000人にのぼったと言います。
同じ時期、私たちの取材でも「保健所に連絡を取ろうとしてもまったく電話がつながらない」とか「保健所から何も連絡が来ない」といった声を聞く頻度が増えました。
書類の入力事務の停滞をきっかけに、住民の不安に応える窓口の機能も低下していたのです。
アナログからデジタルに…
どうしたら
業務を
円滑に
回し、
本来の「
命を
守る」
仕事に
集中できるか。
郡山保健所は、感染の波が落ち着くたびに、事務作業の中で見直せる部分がないか、検討を重ねてきました。
そのなかで着目したのは、ほんのささいなことでした。
そのうちの1つが、医療機関から受け取る「発生届」の入力作業です。
本来、「
発生届」は
医療機関が
国の
導入した
集計システム「HER-SYS」に
直接入力すれば、
保健所の
手間は
発生しません。
しかし、奈良県内では、全体の半数以上が手書きのファックスで送られてきたと言います。
ピーク
時には
職員10
人がかりで
対応していましたが、
この業務の
負担感を
減らそうと、
手書きの「
発生届」の
文字を
自動で
読み取って
システムに
反映させられる
機械を、「
第7
波」に
入る前に
導入しました。
その結果、1日の感染者数が800人を超えたピーク時でも、入力作業はわずか2人で対応できるようになりました。
もう1つ注目したのは、「紙カルテ」と呼ばれる書類を印刷する業務です。
「発生届」を受け取った保健所が、次に行うのは、感染者への体調確認ですが、この時、職員は、患者情報が転記された「紙カルテ」と呼ばれるメモ用紙を手元に置きながら、電話で連絡をとっていました。
ただ、
この「
紙カルテ」を
刷り
出すには、
患者の
通し番号を
調べて、
そのつど
番号を
入力し、1
枚ずつ「
印刷」
ボタンを
押さなければなりませんでした。
患者が10人いたら10回、100人いたら100回、地道な作業を繰り返さねばならず、結局、白紙の雛形に患者の情報を5分かけて手書きで書き写し使用するというアナログな手法に戻していました。
この業務も、
新たに
採用されたデジタルに
強い契約職員が
専用の
プログラムを
作り、
複数人の「
紙カルテ」をワンクリックでまとめて
印刷できるように
改善しました。
小さなことでも積み重ねが重要
新型コロナとの
闘いは、ウイルスの
変異や
重症化率の
変化に
伴って、
当初行っていた
業務自体を
削減する
見直しが、
その後、
国レベルで
行われています。
ただ、私たちは1年以上、郡山保健所の現場を取材してきて、機械を導入したり、新たなプログラムを導入したりしたあたりから、感染者数が増えても、職員たちが余裕を持って仕事に取り組めている様子がうかがえました。
保健所の担当者も同じような実感を持っていて、今後、次の感染拡大や新たな感染症に備えるためにも、デジタル化に強い人材を育て、改善をはかり続けることが重要になってくると考えているようです。
郡山保健所健康増進課 本木隆規課長「業務の効率化にデジタルは欠かせない。どういうデジタル知識を使えば省力化できるのかを考えられるような、そういう人材教育をしていくことが、これからの保健所機能を最大限活用していく上では必要になってくる。住民の不安を聞き取ることや職員どうしのコミュニケーションといった、対人関係の部分は省力化できない。そうした業務を滞らせないために、省力化が可能な事務作業は省力化をしていかなければならない」
保健所の
紙の
山との
闘いは、
多かれ
少なかれ
全国の
保健所で
抱えていた
課題です。
未知の敵と闘い続けるためには、ひとつひとつはささいなことかもしれませんが、デジタル化に向けた業務の改善を進めてほしい、これまでの取材を振り返り、改めてそう思いました。
賭け屋男性“大谷選手の名前 送金元口座にあると把握”米報道
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平氏が違法賭博に関わっていたとされる問題で、アメリカのメディアは、水原氏と関係があったとされる賭け屋の男性は、大谷選手の名前が送金元の口座にあることを把握し、ほかの賭博の参加者に自慢していたなどとする関係者の話を伝えました。
Source: NHK
Mar 29, 2024 00:03
天皇皇后両陛下 4月中旬に再び能登半島地震の被災地訪問へ
宮内庁は、天皇皇后両陛下が先週、石川県の被災地を訪問した際、地震で一変してしまった能登半島の海岸線の様子を上空からご覧になったと明らかにしました。関係者によりますと、4月中旬に再び両陛下が能登半島の被災地を訪問し、被災した人たちを見舞われる方向で調整が進められているということです。
Source: NHK
Mar 28, 2024 15:03
小林製薬「紅麹」問題 製品摂取後の死亡判明は4人に 影響拡大
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、新たに2人が亡くなっていたことがわかったと会社が発表しました。いずれも遺族から「紅麹コレステヘルプ」を摂取し腎臓の病気が疑われる症状があったと連絡があったということで会社は「原因となった疑いがある」として詳しい調査を進めています。この問題で、複数の入院患者を診察した大学病院の医師が、NHKの単独インタビューに応じました。医師によりますと問題が明らかになる前の去年11月から先月にかけて、70代女性1人と50代の女性2人が、尿が泡立つなどの症状が出たり健康診断で腎機能の異常が指摘されたりしたためこの病院を受診したということです。3人はいずれも腎臓の病気も含めて持病はありませんでしたが、腎機能が低下していたということです。※記事では診察にあたった医師のインタビューのほか「回収対象」となっている製品の一覧表をまとめています。
Source: NHK
Mar 28, 2024 15:03
「特別なものではなく、ただ日常を取り戻したいだけなんです」
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Source: NHK
Mar 28, 2024 00:03
マダニ媒介の感染症 SFTSは過去最多 人から人も?【徹底解説】
マダニが媒介するウイルスが原因の感染症が年々増えています。国内で去年過去最多を記録したものでは、初めてヒトからヒトに感染したケースも確認。「マダニはわれわれの日常生活に近づいてきている」専門家は警告します。一体何が起きているのか。春本番、お花見やハイキングに行く前に知っておきたいマダニと病気の関係です。
Source: NHK
Mar 27, 2024 15:03
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