ただ、複数ふくすうの議会ぎかい筋すじは、今回こんかい、台湾たいわんを訪問ほうもんするのではなく、カリフォルニア州しゅうロサンゼルス郊外こうがいで会あうのは、その方ほうが現時点げんじてんでアメリカと台湾たいわん双方そうほうにとって得策とくさくだとの計算けいさんがあるからだといいます。

その判断はんだんに大おおきな影響えいきょうを与あたえたのが去年きょねん8月つき、当時とうじ、下院かいん議長ぎちょうだった民主党みんしゅとう・ペロシ氏しの台湾たいわん訪問ほうもんです。

バイデン政権せいけんとの事前じぜんの調整ちょうせいがほとんどなかったとされ、台湾たいわんとの強つよいきずなをアピールできた反面はんめん、中国ちゅうごくの激はげしい反発はんぱつを招まねき、中国ちゅうごく軍機ぐんきが台湾たいわんとの中間ちゅうかん線せんを越こえて飛行ひこうすることが常態じょうたい化かするなど、「現状げんじょう変更へんこう」を許ゆるしたという批判ひはん的てきな見方みかたがワシントンでは根強ねづよくあるからです。

このため、中国ちゅうごくに現状げんじょう変更へんこうを試こころみる口実こうじつをできるだけ与あたえず、同時どうじに台湾たいわんへの強つよい支援しえんを国内外こくないがいに示しめすには、アメリカ本土ほんどの、それもマッカーシー議長ぎちょうの地元じもとであるカリフォルニア州しゅうに台湾たいわん総統そうとうが「立ち寄たちよる」際さいに会あうのが最善さいぜんとの判断はんだんに至いたったとみられます。

アメリカ議会ぎかいは、中国ちゅうごくが軍事ぐんじ力りょくも駆使くしして台湾たいわん統一とういつをはかる台湾たいわん有事ゆうじのリスクが高たかまっているとの認識にんしきのもと、対たい中ちゅう強硬きょうこう姿勢しせいを強つよめています。

下院かいん議長ぎちょうが、台湾たいわんを訪問ほうもんするのではなく、アメリカ国内こくないで会談かいだんすることに「弱腰よわごし」との批判ひはんも出でかねない状況じょうきょうですが、今回こんかいは議会ぎかいからそうした声こえはあがっていません。

むしろマッカーシー議長ぎちょう肝きもいりの、議会ぎかい下院かいん・中国ちゅうごく特別とくべつ委員いいん会かいのメンバーを中心ちゅうしんとした超党派ちょうとうはの議員ぎいん団だんが会談かいだんに同席どうせきし、アメリカ議会ぎかいが台湾たいわんを強つよく支援しえんしていく姿勢しせいをアピールする機会きかいとして利用りようするねらいです。

そのうえで「中国ちゅうごくは蔡総統そうとうの立たち寄よりを口実こうじつに緊張きんちょうを高たかめ、現状げんじょう変更へんこうを推し進おしすすめるための行動こうどうをとるべきではない」と述のべ、去年きょねん8月つき、当時とうじのペロシ下院かいん議長ぎちょうが台湾たいわんを訪問ほうもんしたのをきっかけに、中国ちゅうごくが台湾たいわん周辺しゅうへんで大だい規模きぼな軍事ぐんじ演習えんしゅうを行おこなうなど台湾たいわんへの軍事ぐんじ的てきな圧力あつりょくを強つよめたことを念頭ねんとうに中国ちゅうごくをけん制けんせいしました。

一方いっぽう、ブリンケン長官ちょうかんは「われわれの台湾たいわん政策せいさくは、『1つの中国ちゅうごく』政策せいさくをはじめ、変更へんこうはない」とも強調きょうちょうしました。

ブリンケン長官ちょうかんとしては、アメリカ上空じょうくうを飛行ひこうした中国ちゅうごくの気球ききゅうをめぐる問題もんだいでみずからの北京ぺきん訪問ほうもんが延期えんきされた状況じょうきょうが続つづくなど、米べい中ちゅう両国りょうこくの対話たいわが停滞ていたいする中なか、これ以上いじょう、中国ちゅうごくとの対立たいりつを深ふかめることは避さけたい思惑おもわくもあるものとみられます。

これに対にたいし、アメリカは「中国ちゅうごくは1つで、台湾たいわんは中国ちゅうごくの一部いちぶ」という中国ちゅうごくの立場たちばに異論いろんを唱となえないとしつつも、「『1つの中国ちゅうごく』原則げんそく」をそのまま受け入うけいれることはせず、▽台湾たいわん関係かんけい法ほう、▽3つの米べい中ちゅう共同きょうどうコミュニケ、▽「6つの保証ほしょう」を要素ようそとする「『1つの中国ちゅうごく』政策せいさく」をとっています。

このうち「6つの保証ほしょう」は1982年ねん、当時とうじのレーガン大統領だいとうりょうが台湾たいわんに示しめしたもので、▽台湾たいわんへの武器ぶき売却ばいきゃくの終了しゅうりょう日びを設定せっていすることに同意どういしない、▽台湾たいわんへの武器ぶき売却ばいきゃくについて中国ちゅうごくに意見いけんを求もとめることに同意どういしない、などの6項目こうもくからなっています。

蔡英文えいぶん総統そうとうは2018年ねん8月つきの中南米ちゅうなんべい歴訪れきほうの際さいにもアメリカを経由けいゆして「レーガン・ライブラリー」を参観さんかんし、「『6つの保証ほしょう』は今いまでもアメリカの対たい台湾たいわん政策せいさくの重要じゅうような基礎きそになっている」と、レーガン大統領だいとうりょうをたたえていました。

今回こんかい、蔡総統そうとうとマッカーシー下院かいん議長ぎちょうの会談かいだん場所ばしょに「レーガン・ライブラリー」が選えらばれたことには、台湾たいわんに対にたいする武器ぶき売却ばいきゃくを含ふくむアメリカの強つよい関与かんよをあらためて示しめすねらいが込こめられていそうです。

記念きねん図書館としょかんのウェブサイトによりますと旧きゅうソビエトのゴルバチョフ書記しょき長ちょうとの首脳しゅのう会談かいだんについての記録きろくなど6000万まんページを超こえる文書ぶんしょや160万まん点てんを超こえる写真しゃしんが所蔵しょぞうされています。

また、巨大きょだいな展示てんじスペースにはレーガン氏しが搭乗とうじょうした大統領だいとうりょう専用せんよう機き「エアフォースワン」などのゆかりの品々しなじなが展示てんじされています。

アメリカでは大統領だいとうりょうの退任たいにん後ご、任期にんき中ちゅうの記録きろくや資料しりょうが失うしなわれるのを防ふせぐため、法律ほうりつに基もとづいて大統領だいとうりょうの記念きねん図書館としょかんが設立せつりつされています。

記念きねん図書館としょかんは通常つうじょう、大統領だいとうりょうの出身しゅっしんの州しゅうに設もうけられ文書ぶんしょだけでなくゆかりの品しななども保管ほかん、展示てんじし研究けんきゅうや学習がくしゅうのために一般いっぱんに公開こうかいもしています。