オーストラリア南部タスマニア島を流れるダーウェント川です。水中を泳ぐのではなく、川底を「歩く」珍しい魚がいました。この魚「スポッテッド・ハンドフィッシュ」は、手のように見える胸ビレを使って動き回り、暗い水底に潜み、口の上の突起を揺らしておびき寄せた獲物に飛びかかります。
白っぽい体と茶色い斑点は川底の砂に溶け込んで見えにくく、写真撮影はさらに難しいです。この種は深刻な絶滅の危機に瀕(ひん)しており、野生の個体数は3000匹に満たないと言われます。
それでもフランスの写真家ニコラ・レミーさんは、どうしても自分の目でこの魚を見てみたいと思い、2022年に拠点としていたシドニーからタスマニア州を訪問しました。水温11度というダーウェント川の冷たい水の中で撮影に臨みました。