2010年ねん、本格ほんかく的てきに働はたらき方かた改革かいかくに乗り出のりだしました。

これまでに社内しゃない託児たくじ所しょの設置せっちや「朝ちょう型がた勤務きんむ」の導入どうにゅう、それにがんの予防よぼうや治療ちりょうを支援しえんする制度せいどの導入どうにゅうなどを進すすめてきました。

特とくに「朝ちょう型がた勤務きんむ」の導入どうにゅう後ご、午後ごご8時じ以降いこうに残業ざんぎょうしている社員しゃいんの割合わりあいが30％から5％に減へったほか、午後ごご10時じ以降いこうの残業ざんぎょうはほぼゼロになるなど、限かぎられた時間じかんで効率こうりつ的てきに成果せいかを出だす意識いしきが社内しゃないで浸透しんとうしたといいます。

深夜しんや残業ざんぎょうも多おおく、激務げきむのイメージがある総合そうごう商社しょうしゃ。

「朝ちょう型がた勤務きんむ」は2013年ねんから導入どうにゅうされた取り組とりくみです。

午後ごご8時じ以降いこうの仕事しごとは原則げんそく禁止きんしした上うえで残のこった仕事しごとは翌朝よくあさの8時じまでに出社しゅっしゃして行おこなう制度せいどで、早朝そうちょうに勤務きんむした場合ばあいは深夜しんや残業ざんぎょうと同おなじ割増わりまし賃金ちんぎんが支払しはらわれます。

さらに早朝そうちょうに勤務きんむをはじめることで、育児いくじや介護かいごなど社員しゃいんの都合つごうに合あわせて早はやければ午後ごご3時じ以降いこうに仕事しごとを切り上きりあげることもできます。

本社ほんしゃの社員しゃいんでは1日にちに約やく6割わりが「朝ちょう型がた勤務きんむ」を利用りようしているということです。

2005年ねんは全国ぜんこく平均へいきんが1.26だったのに対にたいし、社内しゃないでは0.60。

2010年ねんは全国ぜんこく平均へいきんが1.39だったのに対にたいし、社内しゃないでは0.94。

しかし働はたらき方かた改革かいかくに取り組とりくみはじめたあと、急激きゅうげきに上昇じょうしょう。

2021年ねんは全国ぜんこく平均へいきんが1.30だったのに対にたいし、社内しゃないでは1.97でした。

この結果けっかについては村木むらきさんは、仕事しごとと家庭かていの両立りょうりつの観点かんてんで働はたらき方かた改革かいかくを分析ぶんせきしたところ、出生しゅっしょう率りつが向上こうじょうしていることがわかったと説明せつめいしています。

そのうえで企業きぎょうが働はたらき方かた改革かいかくを進すすめる背景はいけいについて、次つぎのように明あかしました。

村木むらき厚子あつこさん

「これからの日本にっぽんは人手ひとで不足ふそくが目めに見みえているわけです。ですので、働はたらき方かた改革かいかくに取り組とりくむことと、社員しゃいんの豊ゆたかな暮くらしや次世代じせだいを産うんで育はぐくむことを会社かいしゃとして応援おうえんするというメッセージが大事だいじだと思おもいます」

小しょう關さんの主おもな1日にちは、娘むすめと一緒いっしょに出社しゅっしゃして会社かいしゃの託児たくじ所しょに娘むすめを送り届おくりとどけます。

そして会社かいしゃが無料むりょうで用意よういしている朝食ちょうしょくをとったあと午前ごぜん8時じ前まえには勤務きんむを開始かいし。

夕方ゆうがたの娘むすめの迎むかえは妻つまが行おこないますが、娘むすめの体調たいちょうが悪わるいときなどは小しょう關さんが仕事しごとを早はやく切り上きりあげることもあるといいます。

「時間じかん的てきな制約せいやくや金銭きんせん的てきな制約せいやくなど、各かく家庭かていで気きにしているポイントは違ちがうと思おもいますが、娘むすめが発熱はつねつしたときに迎むかえに行いくことができるなど、柔軟じゅうなんな働はたらき方かたが認みとめられていることが大おおきいです」

さらに育児いくじに関かかわる時間じかんや趣味しゅみや自己じこ研鑽けんさんなど、自由じゆうな時間じかんが増ふえたことで仕事しごとの効率こうりつもあがったと実感じっかんしているといいます。

小しょう關亮太りょうたさん

「必かならずしも仕事しごとに取り組とりくんでいる時ときだけ考かんがえやアイデアが浮うかんでくるわけでなく、趣味しゅみの時間じかんで生うまれて来きたものを夜よるに自分じぶん宛あてにメールで送おくり、翌朝よくあさ見直みなおして考かんがえて取り組とりくむことで好こう循環じゅんかんが生うまれています」

繊維せんいを扱あつかう部署ぶしょで仕事しごとの半分はんぶんは海外かいがいとのやり取やりとりですが、夕方ゆうがたには1度ど帰宅きたくして子こどもの迎むかえやお稽古けいこ事ごとの送迎そうげいを行おこなったあと、午後ごご6時じごろから自宅じたくで電話でんわ会議かいぎに参加さんかするなど仕事しごとを再開さいかいしているといいます。

入社にゅうしゃ当初とうしょは、「商社しょうしゃといえば夜よるが遅おそいイメージ」があり、仕事しごとと子育こそだての両立りょうりつは難むずかしいのではないかと思おもっていたということですが、朝ちょう型がた勤務きんむ制度せいどの導入どうにゅう後ごに2人にん目めの子こどもを授さずかり、夫婦ふうふで分担ぶんたんしながら2人にんの子育こそだてができているといいます。

山路やまじ梨絵りえさん

「気持きもち的てきに負い目おいめを感かんじていないというのが大おおきいです。仕事しごとの終おわりが決きまっているからこそパフォーマンスで返かえさないといけないと逆ぎゃくに良よい緊張きんちょう感かんにもなっています」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは28日にち、去年きょねん生うまれた子こどもの数かずは速報そくほう値ちで79万まん9728人にんと1899年ねんに国くにが統計とうけいを取とり始はじめて以降いこう、初はじめて80万まん人にんを下回したまわったと発表はっぴょうしました。

おととしより4万まん3000人にんあまり、率りつにして5.1％減少げんしょう。

出生しゅっしょう数すうが減少げんしょうするのは7年ねん連続れんぞくです。

国立こくりつ社会しゃかい保障ほしょう・人口じんこう問題もんだい研究所けんきゅうじょが2017年ねんに公表こうひょうした予測よそくでは、日本人にっぽんじんの子こどもの出生しゅっしょう数すうが80万まん人にんを下回したまわるのは2030年ねんとなっていて、少子しょうし化かが想定そうていを上回うわまわるペースで進すすんでいます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは出生しゅっしょう数すうの減少げんしょうについて「結婚けっこんや出産しゅっさん、子育こそだての希望きぼう実現じつげんを阻はばむさまざまな要因よういんが複雑ふくざつに絡み合からみあっているとみられる。社会しゃかいや経済けいざいの基盤きばんが大おおきく変かわる危機ききとも言いえ、関係かんけい省庁しょうちょうと連携れんけいしながら対策たいさくに取り組とりくんでいきたい」としています。

その後そのご、上昇じょうしょう傾向けいこうが続つづき、第だい1次じベビーブーム（昭和しょうわ22年ねん～24年ねん）にあたる

1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）には最多さいたの269万まん6638人にんに上のぼりました。

そのあとは減少げんしょう傾向けいこうとなり、1960年代ねんだいから1970年代ねんだい半なかばごろにかけて一時いちじ、増加ぞうかに転てんじ、第だい2次じベビーブーム（昭和しょうわ46年ねん～49年ねん）にあたる1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）には209万まん1983人にんに上のぼりますが、その後そのごは再ふたたび減へっていきました。

1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）は124万まん6802人にん、1990年代ねんだいは120万まん人にん前後ぜんごで推移すいいしていましたが、2000年代ねんだいに入はいるとさらに減少げんしょう傾向けいこうとなり、2016年ねん（平成へいせい28年ねん）には97万まん7242人にんとはじめて100万まん人にんを下回したまわりました。

その後そのごは夫婦ふうふのライフスタイルの変化へんかとともに年々ねんねん増加ぞうか傾向けいこうが続つづき、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）には1013万まん世帯せたいとはじめて1000万まん世帯せたいを超こえました。

さらに去年きょねん（2022年ねん）は1262万まん世帯せたいと統計とうけいを取とり始はじめたおよそ40年ねん前まえと比くらべると2倍ばい以上いじょうに増ふえています。

労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう・研修けんしゅう機構きこう 樋口ひぐち美雄よしお理事りじ長ちょう

「日本にっぽんや韓国かんこくなどの出生しゅっしょう率りつが低下ていかしている国くにをみると、男性だんせいは外そとで働はたらき女性じょせいは家庭かていを守まもるといった従来じゅうらいの慣習かんしゅうが残のこっていることが原因げんいんの1つだとみられるので、働はたらき方かた改革かいかくは少子しょうし化か対策たいさくにとって不可欠ふかけつで、男女だんじょとも協力きょうりょくして子育こそだてができる環境かんきょうを企業きぎょうが作つくっていくことが重要じゅうようだ」

「働はたらき方かた改革かいかくは大手おおて企業きぎょうだけでなく中小ちゅうしょう企業きぎょうでも取り組とりくむことができる。多おおくの企業きぎょうで広ひろがってきているが、より多おおくの企業きぎょうで広ひろげるためには、経営けいえい者しゃのリーダーシップや社員しゃいんの理解りかいの促進そくしんのほか、働はたらき方かた改革かいかくに詳くわしいコンサルタントや社会しゃかい保険ほけん労務ろうむ士しといったアドバイザーにその企業きぎょうに適てきした助言じょげんをしてもらうことも必要ひつようだ」

日本にっぽん総合そうごう研究所けんきゅうじょ 藤波ふじなみ匠たくみ 上席じょうせき主任しゅにん研究けんきゅう員いん

「新型しんがたコロナの影響えいきょうで結婚けっこんの数かずが大幅おおはばに減少げんしょうしたことが出生しゅっしょう数すうの減少げんしょうにもつながったのではないか。少子しょうし化かが進すすむことで経済けいざい成長せいちょうが止とまるだけでなく社会しゃかい保障ほしょう制度せいどの負担ふたんも重おもくなり日本にっぽんの将来しょうらいを担になう若わかい人ひとたちが将来しょうらいに対にたいして前向まえむきになれなくなる可能かのう性せいもある。子こどもを望のぞむ人ひとや結婚けっこんしたい人ひとが前向まえむきになれるような支援しえんなどを通をつうじて子こどもを産うむかどうかも含ふくめ、自由じゆうに選択せんたくできるような社会しゃかいを目指めざしていくことが求もとめられる」