妊娠中や
赤ちゃんなど幼い子どもと
一緒にいる
時に
災害が
起きた
時、どこへ
逃げますか?
真っ先に頭に浮かぶのが「避難所」だと思います。
「子どもが泣いたり騒いだりしたらどうしよう」
「母乳で育てているけれど、授乳室ってあるのだろうか」
でも大丈夫です。
親も子もためらわずに安心して避難できる。
そんな避難所づくりがようやく始まっています。
(NHK大阪放送局 記者 宗像玄徳)
※記事の最後に今からできる備えを紹介しています
避難はホテルへ
ことし1
月、
大阪・
泉大津市が
ユニークな
避難訓練を
行いました。
ホテルに集まったのは妊婦と赤ちゃんを連れた家族連れ9組です。
このホテル、
市と
協定を
結んでいて、
災害が
起きた
際、
客室や
広間に
空きがあれば
妊婦や
赤ちゃんがいる
家族を
受け入れることになっています。
今回は「ためらわない避難」につなげるための1泊2日の訓練です。
大きな荷物を
持って、
やって来たのはヘルメットをかぶった
戸祭さん一家。
生後6
か月の
長男・
智太郎くんの
頭には
防災頭巾がかぶせられています。
他にどんなものを持ってきたのか、見せてもらうと…
妻・
智子さん「100円ショップで買った圧縮袋にオムツを6枚入れてきました。こうするとかさが半分くらいになるんです。あとは、オムツを捨てる『におわない袋』や着替えにガーゼ。それに常温でも飲める液体ミルクです。災害時のストレスで母乳が出なくなることも想定して試そうと思ってます」
参加者それぞれが客室に泊まった訓練。
一夜明けてから戸祭さんに感想を聞いてみました。
戸祭さん夫婦
「液体ミルクはふだん飲んでいないので飲んでくれず、結局母乳を与えました。家と環境が違うので興奮してなかなか寝つかなかったですね。ただ、同じ幼い子ども連れが集まるので、子どもが泣いても気を遣わずにすみました。こういう場所なら安心して避難できると思います」
配慮が必要なのに…
こうした
妊婦や
赤ちゃんがいる
家族の
避難先は、
どう整備されようとしているのか。
災害対策基本法では、高齢者や障害者と並んで、特別な配慮が必要だとされています。
こうした人たちを受け入れる支援態勢や環境が整った避難所(=「福祉避難所」)は、阪神・淡路大震災をきっかけに必要性が叫ばれるようになり、全国におよそ2万5000か所あります。(2021年12月1日時点)
ただ、その多くは、高齢者施設や障害者施設を利用したものです。
妊婦や赤ちゃんがいる家族専用の避難所がいくつあるのかは、国も把握できていません。
内閣府の防災担当者は「高齢者や障害者に比べて、受け入れる避難所は足りていない」と話しています。
法律で定められているのに、対応が間に合っていないというのが取材した印象でした。
2人の娘と1週間車中泊した人も
では、
これまでの
災害で、
妊婦や
幼い子どもがいる
家族は
どうしていたのでしょうか?
2016
年の
熊本地震。
震度7の揺れが2度襲った熊本県益城町に住む山本優美さんです。
当時、ふたりの娘は2歳と生後1か月。
山本さんの一家4人は、近所の人たちと一緒におよそ1週間、自宅近くにとめた車の中で避難生活を送りました。
長女は、
地震の
ショックからか、
山本さんが
身動きがとれなく
なるような
強さで
抱きつき、
離れようとしなかったといいます。
畑に穴を掘って作った仮設トイレにも長女はひとりで行けず、仕方なく、すでに卒業していたオムツをはかせたと振り返りました。
山本さん
「もし避難所の体育館に行っても、生まれて1か月の次女をみんなが歩き回る床に置きたくないし、授乳をしていたので周りの目も気になったと思います。災害時は、子どもは何もすることがありません。でも、避難所などでは、親から『静かにしなさい』と怒られがちだと思います。おもちゃがあるなど子どもが安心できる場所、同じような子どもを連れた母親が集まる場所があるといいなと思います」
“ふだんの場所”を避難所に
こうした
課題に
取り組み、ふだんから
親も
子も
慣れ親しんでいる
場所を
避難所にしたのが
新潟県長岡市です。
JR長岡駅から徒歩15分ほどの場所にある「子育ての駅 ぐんぐん」は、絵本やおもちゃが充実し、育児の相談もできるよう保育士が常駐しています。
利用は
無料で、
平日の
午前中も
多くの
子ども連れでにぎわっていました。
もともとは雪が多く積もる冬でも子どもが遊べる場所を作ろうと市が整備した施設です。
災害時には市内に13か所ある「子育ての駅」を、妊婦や0歳児のいる家庭の避難所として利用することにしています。
備蓄を担当者に見せてもらうと…
オムツは
サイズ別に3
種類。
離乳食や
ミルクはもちろん、
哺乳瓶や
哺乳瓶を
洗うブラシに
綿棒、
髪をくくる
ゴムまで、なんと
およそ60
種類。
担当者が「かゆいところにも手が届く」と表現する豊富さで、市の女性職員やママたちの意見を参考にそろえたということです。
さらに市では、災害時に母親や子どもの心のケアを行う市民ボランティアも養成していて、これまでにおよそ70人が登録しています。
「子育ての駅」を避難所として利用することを決めたのは今から6年前。
その前の年に熊本地震の応援に派遣された職員が、幼い子どもを抱えた家族が一般の避難所で苦労している様子や、子連れ専用の避難所を設置しても親子にとってなじみのない場所だったため、あまり利用されていない実態を見たことがきっかけでした。
長岡市子ども・子育て課 深澤寿幸課長
「長岡市は2004年に中越地震を経験しています。私も避難所を見回りましたが、当時、幼い子ども連れを見た記憶がありません。いま振り返ると避難所に来づらかったのかもしれません。ふだんよく行く場所だと避難するハードルは間違いなく下がると思います。幼い子どもがいる家族に限らず、いざというときに誰も取り残されないよう、環境作りを進めていきたい」
ふだんからの備え どうすればいいの?
泉大津市や
長岡市の
取り組みは
先進的な
取り組みです。
取材した私も1歳の子どもがいますが、こうした取り組みが広がって、安心して避難できる場所がもっと増えてほしいと思いました。
ただ、私たち自身がふだんから災害に備えておくことも大事です。
専門家にどんな備えをしておくべきか聞きました。
“近所へのあいさつ”と“玄関まで避難”
福祉防災学が
専門の
同志社大学社会学部立木茂雄教授が
上げるポイントは2つです。
▽近所へのあいさつ
災害時もっとも素早く動いて助けてくれる可能性があるのは隣近所です。「赤ちゃんがいます」「いま妊娠何か月なんです」と周りの人に知ってもらう、あいさつから始めましょう。それだけで近所の人は、「配慮が必要な人がいるんだ」と認識できます。
▽まずは「玄関まで避難」
いきなり避難と言われても腰が重くてなかなかできません。まずは必要な荷物を持って子どもと一緒に玄関まで避難してみましょう。ほかにも、避難場所まで行くつもりで公園まで散歩してみる。ふだんから“避難の素振り”をしておくと大きな効果があります。
“多めの買い物”と“分散備蓄”
淀川区地域防災リーダーの
増田裕子さんが
あげるポイントは
こちら。
▽ふだん使うものをちょっと多めに買っておく
こちらは4歳と10か月の子どもがいる4人家族の備蓄品です。
ふだん
使用しているものを
災害時の
備蓄品にもしています。
安いときにまとめて
買って
一部を
備蓄品に
回す。「
災害への
備え」は
難しく
考えがちですが、
実は日常の
延長に
あるんです。
▽分散して備蓄
備蓄品を家の1か所に置いておくと、災害時に部屋が壊れたりして取り出せなくなるおそれもあります。車のトランクにも備えを置いておくなど“分散備蓄”が重要です。
皆さんも、できることから試してみてください。
ママが子どもと避難したら大変だった話
私たちは
無事に
避難所にたどりつけるのか。
地震に
備えて
子どもたちと
一緒に
試してみました。
小林製薬「紅麹」問題 製品摂取後の死亡判明は4人に 影響拡大
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、新たに2人が亡くなっていたことがわかったと会社が発表しました。いずれも遺族から「紅麹コレステヘルプ」を摂取し腎臓の病気が疑われる症状があったと連絡があったということで会社は「原因となった疑いがある」として詳しい調査を進めています。この問題で、複数の入院患者を診察した大学病院の医師が、NHKの単独インタビューに応じました。医師によりますと問題が明らかになる前の去年11月から先月にかけて、70代女性1人と50代の女性2人が、尿が泡立つなどの症状が出たり健康診断で腎機能の異常が指摘されたりしたためこの病院を受診したということです。3人はいずれも腎臓の病気も含めて持病はありませんでしたが、腎機能が低下していたということです。※記事では診察にあたった医師のインタビューのほか「回収対象」となっている製品の一覧表をまとめています。
Source: NHK
Mar 28, 2024 15:03
「特別なものではなく、ただ日常を取り戻したいだけなんです」
眠れない。食べられない。起き上がれない。言いようのない虚脱感にさいなまれる。そんな状態が、10日間ほども続きました。経営する民宿が被災し、心身の不調を経験した珠洲市の女性がインタビューの途中、ふとこう漏らしました。「何も特別なものではなく、日常を取り戻したいだけなんです。いったい元に戻りつつあるんだろうかって、本当に思います」
Source: NHK
Mar 28, 2024 00:03
水戸駅 エスカレーター死亡事故 防犯カメラに男性転倒の様子
JR水戸駅のエスカレーターで、72歳の男性が倒れているのが見つかりその後、死亡した事故で、現場付近の防犯カメラの映像に男性がエスカレーターの降り口で転倒する様子が写っていたことが捜査関係者への取材でわかりました。発見された際、男性の上着の一部が手すりに巻き込まれた状態だったということで、警察は死亡した原因を調べています。
Source: NHK
Mar 27, 2024 15:03
マダニ媒介の感染症 SFTSは過去最多 人から人も?【徹底解説】
マダニが媒介するウイルスが原因の感染症が年々増えています。国内で去年過去最多を記録したものでは、初めてヒトからヒトに感染したケースも確認。「マダニはわれわれの日常生活に近づいてきている」専門家は警告します。一体何が起きているのか。春本番、お花見やハイキングに行く前に知っておきたいマダニと病気の関係です。
Source: NHK
Mar 27, 2024 15:03
【ライブ】「紅麹」問題で小林製薬に行政処分 大阪市が会見
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、厚生労働省は、26日に行った会社への聞き取り調査の結果、これまで公表されていた1人に加えて、2人目の死亡事例が報告されたと発表しました。大阪市は27日、会社に対して自主回収の対象となっている3つの製品について製品の回収を命じる行政処分を出しました。
Source: NHK
Mar 27, 2024 04:03
小林製薬「紅麹」 腎疾患で1人死亡 新たに約50件入院の情報
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、ことし、1人が腎疾患で亡くなっていたことを会社が明らかにしました。会社は、製品と死亡との因果関係が疑われるとしていて、詳しい調査を進めるとともに対象となる製品の使用を中止するよう呼びかけています。また、会社は、相談窓口に入院したという情報が新たにおよそ50件、寄せられていることも明らかにしました。これまでに入院が確認された人は26人にのぼっています。全国では紅麹原料を使った商品を自主回収する動きが相次いでいて、記事では自主回収を行っている商品についてもまとめています。
Source: NHK
Mar 26, 2024 04:03
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