森下もりした九きゅう段だんは、年齢ねんれい差さ32歳さいの藤井ふじい五ご冠かんを相手あいてに、ここまで2勝しょうを挙あげている羽生はぶ九きゅう段だんについて、多彩たさいな戦術せんじゅつを使つかうなど、本領ほんりょうを発揮はっきしていると分析ぶんせきし、「羽生はぶ九きゅう段だんは、後手ごての第だい1局きょく、第だい3局きょく、第だい5局きょくで『一手いって損そん角かく換がわり』、『雁木がんぎ』、『横よこ歩ふ取とり』と独自どくじの作戦さくせんをとっている。結果けっか的てきにはどれも敗やぶれたが、羽生はぶ九きゅう段だんは、先手せんての第だい2局きょくは『相あい掛かかり』、第だい4局きょくは『角かく換がわり』と、メジャーな戦法せんぽうで勝かっている。メジャーと言いえない作戦さくせんでもきっちり将棋しょうぎを作つくっているほか最新さいしん型がたでも藤井ふじい五ご冠かんを相手あいてに対応たいおうしている。羽生はぶ九きゅう段だんは昔むかしからオールラウンドプレーヤーでまさに“変幻へんげん自在じざい”と言いわれていたが、勝かった先手せんての対局たいきょくは完勝かんしょうと言いっていい将棋しょうぎで、羽生はぶ九きゅう段だんのすごさを実感じっかんさせられた」と振り返ふりかえりました。

一方いっぽうの藤井ふじい五ご冠かんについては、対局たいきょく前まえから“自分じぶんの投なげる球たまを相手あいてに見みせている”と話はなし、「藤井ふじい五ご冠かんは後手ごての場合ばあい、2手て目めは『8四よん歩ほ』で、相手あいてがどう来きても必かならず飛車ひしゃ先さきの「歩あゆみ」を突つく。昔むかしから『王者おうじゃの一いち手て』と言いわれるが、AIも後手ごてでは2手て目めが必かならず『8四よん歩ほ』なのでAIに忠実ちゅうじつなのだとある棋士きしから聞きき、なるほどと思おもった。このように、藤井ふじい五ご冠かんは『俺おれはこれを投なげるぞ』と相手あいてに球たまを示しめすのだが、その球たまが球速きゅうそく170キロくらいある」と表現ひょうげんしていました。

そして、今回こんかいのタイトル戦せんにかける両者りょうしゃの心境しんきょうについては、「羽生はぶ九きゅう段だんは昨年度さくねんどの勝率しょうりつが3割わり台だいになったが、その中なかから立て直たてなおして今回こんかいの挑戦ちょうせん権けんをつかんだ。もともとの力ちからは桁違けたちがいだが52歳さいになって羽生はぶ九きゅう段だんと言いえども衰おとろえは感かんじていると思おもう。それをいかにカバーしてプラスの面めんを出だすか、というところに今回こんかいの勝負しょうぶにかける執念しゅうねんを感かんじた。また、藤井ふじい五ご冠かんはタイトル戦せんを11期き制せいしているとは言いえ、七なな番ばん勝負しょうぶで角番かどばんが1度どもない。追い詰おいつめられたことが1度どもないわけなので、最終さいしゅう局きょくに持ち込もちこまれると、“天下てんか無敵むてきの藤井ふじい聡さとし太ふとし”と言いえどもやっぱり平常へいじょう心しんでいることは難むずかしいのではないか」と語かたっていました。

その上うえで、第だい6局きょくの見みどころについて、「藤井ふじい五ご冠かんは命懸いのちがけで勝かちに来くると思おもう。羽生はぶ九きゅう段だんがどう戦たたかうか、楽たのしみな対局たいきょくだ」と予想よそうしていました。