子こどものころからおなかをこわしたことなどなかった播磨はりまさん、急きゅうな症状しょうじょうに「何なにかおかしい」と受診じゅしんして、診断しんだん名めいがつきました。

病気びょうきは「難治なんじ性せい」で、治なおすのが特とくに難むずかしく症状しょうじょうが長ながく続つづいて日常にちじょう生活せいかつの負担ふたんが大おおきい状態じょうたいだと説明せつめいを受うけました。

薬くすりも効ききづらく、最初さいしょの入院にゅういんは10か月かげつ間かんに及およびました。

当時とうじ、大手おおて企業きぎょうの本社ほんしゃ広報こうほう部ぶに所属しょぞく、やる気やるきにあふれた新入しんにゅう社員しゃいん生活せいかつでしたが、病気びょうきで常勤じょうきんの仕事しごとは難むずかしいと判断はんだん、26歳さいで退職たいしょくすることにしました。

これまで、不意ふいに襲おそわれる症状しょうじょうに長年ながねん苦くるしんできました。

入院にゅういんした回数かいすうは、数かぞえると17回かいにもなるということです。

治療ちりょうのためには有効ゆうこうですが、もし新型しんがたコロナウイルスなどに感染かんせんすれば、免疫めんえきの力ちからを抑おさえているため、重症じゅうしょう化かするおそれがあります。

このため、播磨はりまさんは感染かんせん症しょう対策たいさくにはコロナの感染かんせん拡大かくだい前まえから人一倍ひといちばい気きをつかってきました。

コロナ禍かではふつうにみんなが着つけるようになったマスクは、冬ふゆのインフルエンザが流行りゅうこうする時期じきなどにはいつも着つけていました。

このほか「人混ひとごみはできるだけ避さける」「こまめにせっけんで手てを洗あらう」などのコロナ禍かでおなじみになった対策たいさくも、播磨はりまさんは以前いぜんから続つづけてきていました。

コロナの感染かんせん拡大かくだい後ごはさらに人混ひとごみを避さけるようにして、外出がいしゅつの回数かいすうを減へらしました。

読書どくしょや料理りょうり、室内しつないでできる運動うんどうなどをして自宅じたくで過すごすことが多おおくなりました。

「電車でんしゃで人ひとと接せっしているよりもこうしてのんびり歩あるいているほうが気持きもちもいいですし、感染かんせんリスクもないということで今後こんごも歩あるくことになると思おもいます」

今いま、気きがかりなのは、どうしてもラッシュアワーの電車でんしゃに乗のらないといけない次つぎの通院つういん日びのことです。

「次回じかいの通院つういんは4月つきはじめなのですが、検査けんさの関係かんけいで車くるまの運転うんてんを避さけるため、電車でんしゃで行いくことになります。私わたし自身じしんはマスクを着つけますが、マスクが個人こじん判断はんだんになって初はじめての通院つういんで、ラッシュの時間じかん帯たいに重かさなってしまうので、どうしても電車でんしゃ内ないの状況じょうきょうが心配しんぱいです。少すこし遠とおいけど、タクシーで行いくしかないかな…とも考かんがえています」

もちろんそれは大だい前提ぜんていですし、できる対策たいさくを最大限さいだいげんやっていくことに変かわりはないのですが、「自分じぶんで守まもるしかない」という状況じょうきょうが一層いっそう強つよまるのではないかと懸念けねんしています。

「マスクを外はずせることで皆みなさん開放かいほう的てきな気持きもちになって外そとに出でるようになって、今いままでよりも混雑こんざつするところが増ふえるでしょうし、楽たのしい集あつまりもあると思おもいます。でも、他たの人ひとたちがどれだけあちこちで楽たのしそうにしていても、私わたしたちはそこには加くわわれない。逆ぎゃくにこれからは私わたしたちのほうが気きをつけて避さけていかなければいけないんだろうなって。そういう意味いみでは、取り残とりのこされるような気持きもちになる部分ぶぶんがあるんだろうなと思おもいます」

「マスクを外はずせるようになったことは歓迎かんげいすべきことですが、体からだの免疫めんえき機能きのうが弱よわまった人ひとや糖尿とうにょう病びょう、抗こうがん剤ざいの治療ちりょうを受うけている人ひとなど、さまざまな理由りゆうで今いまもコロナを恐おそれる人ひとたちがいて、見た目みためではわからない、病気びょうきを隠かくしておきたい人ひとも多おおいです。そうすると、病気びょうきを持もっている人ひとのほうが人混ひとごみに近ちかづかない、マスクをしていない人ひとのところに行いかないっていうことを守まもっていくしか方法ほうほうがなく、世の中よのなかが緩和かんわムードになればなるほど、世間せけんから取り残とりのこされてしまうような感覚かんかくを持もつ人ひとが増ふえてしまっているんです」

播磨はりまさんはこのマークをいつも持もっていますが、身みに付つけて歩あるくことはしていません。

本当ほんとうに症状しょうじょうが重おもくて、外出がいしゅつ時じにもしかすると倒たおれて迷惑めいわくをかけてしまうかもしれない、と感かんじる時ときだけは身みにつけるようにしているそうです。

そして、播磨はりまさんは実じつはこれまで病気びょうきのことを家族かぞく以外いがいにはほとんど話はなしてきませんでした。

それでも今回こんかい、あえて取材しゅざいに応おうじてくださったのは、次つぎのことを知しってもらうためでした。

「私わたしもそうですが、見た目みためではわからないのに実際じっさいには重症じゅうしょう化かしやすいリスクがある人ひとが、多おおくの人ひとが考かんがえているよりももっとたくさん、身近みぢかなところやすぐ隣となりにいるんだと思おもいます」

「すこし具合ぐあいが悪わるい時ときや、かぜのような症状しょうじょうがあってせきが出でる時ときには、ぜひこれからもマスクをしていただければと思おもいます。また、ヘルプマークを付つけている人ひとがいれば何なにかの病気びょうきがある人ひとかもしれないと思おもっていただくなど、ほんのすこしの配慮はいりょをしていただくことができれば、安心あんしんして外そとに出でて行いきやすくなる人ひとたちがたくさんいるんだということを知しってほしいです」