ユン大統領だいとうりょうも、安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうが厳きびしさを増ます中なか、日にち米べい韓かん3か国かこくの連携れんけいを重視じゅうしする立場たちばから日にち韓かん関係かんけいの改善かいぜんに取り組とりくむ姿勢しせいを強調きょうちょうしたい考かんがえで、外交がいこう成果せいかを示しめすことによって太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいの解決かいけつ策さくに対にたいする国内こくないの批判ひはんをやわらげたいものとみられます。

両りょう首脳しゅのうは共同きょうどう記者きしゃ会見かいけんを行おこない、会談かいだんの成果せいかを明あきらかにすることにしています。

ユン大統領だいとうりょうは、来月らいげつ末まつに同盟どうめい国こくアメリカを国賓こくひんとして訪問ほうもんするのに先立さきだって日本にっぽんに赴おもむく形かたちとなり、韓国かんこくの大統領だいとうりょうが就任しゅうにん後ご、ワシントンより先さきに東京とうきょうを訪おとずれるのは異例いれいです。

ユン政権せいけんとしては、安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうが厳きびしさを増ます中なか、日にち米べい韓かん3か国かこくの連携れんけい強化きょうかを図はかる上うえでも日にち韓かん関係かんけいの改善かいぜんを急いそぐとともに、首脳しゅのうどうしが互たがいに相手あいて国こくを訪問ほうもんし合あう「シャトル外交がいこう」の12年ねんぶりの再開さいかいにもつなげるねらいがありそうです。

一方いっぽう、両国りょうこく間かんで最大さいだいの懸案けんあんである「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいでは、韓国かんこく政府せいふが今月こんげつ6日にちに発表はっぴょうした解決かいけつ策さくについて、一部いちぶの原告げんこくや支援しえん団体だんたいが強つよく反発はんぱつしていて、ユン政権せいけんは引き続ひきつづき丁寧ていねいに説明せつめいし理解りかいを得える努力どりょくを求もとめられています。

このため、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとの会談かいだんではこの問題もんだいへの取り組とりくみを直接ちょくせつ説明せつめいした上うえで日本にっぽん側がわから前向まえむきな対応たいおうを引き出ひきだしたい考かんがえです。

また、ユン大統領だいとうりょうの訪問ほうもんには大手おおて財閥ざいばつをはじめ多おおくの企業きぎょう経営けいえい者しゃが同行どうこうすることになっていて、日にち韓かん間かんの経済けいざい協力きょうりょくを強化きょうかする好機こうきとしても位置いちづけているとみられます。

また、韓国かんこく政府せいふは2008年ねん以降いこう、これまでの補償ほしょうが道義どうぎ的てきに不十分ふじゅうぶんだったとして「徴用ちょうようされた」と認定にんていした人ひとや遺族いぞくに対にたいしても、慰労いろう金きんの支給しきゅうや医療いりょう支援しえんを行おこなってきました。

しかし、2012年ねんに韓国かんこくの最高さいこう裁判所さいばんしょが「徴用ちょうよう」をめぐって「個人こじん請求せいきゅう権けんは消滅しょうめつしていない」とする判断はんだんを示しめし、日本にっぽん企業きぎょうに賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつが相次あいつぐようになりました。

そして2018年ねん、韓国かんこくの最高裁さいこうさいで日本にっぽん企業きぎょうに賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつが初はじめて確定かくていすると、原告げんこく側がわは日本にっぽん企業きぎょうが韓国かんこく国内こくないにもつ資産しさんを差し押さしおさえて売却ばいきゃくすることを認みとめるように地方ちほう裁判所さいばんしょに申し立もうしたてました。

これに対にたいし、日本にっぽん政府せいふはこうした対応たいおうを「国際こくさい法ほう違反いはんだ」と批判ひはんして「現金げんきん化か」を避さける措置そちをとるよう強つよく求もとめ、日にち韓かん関係かんけいは戦後せんご最悪さいあくと言いわれるまでに冷え込ひえこみました。

こうした中なか、去年きょねん5月つきに韓国かんこくのユン・ソンニョル大統領だいとうりょうが就任しゅうにんすると、日本にっぽんとの関係かんけい改善かいぜんに意欲いよくを示しめし「現金げんきん化か」が行おこなわれる前まえに問題もんだいの解決かいけつを図はかりたいという姿勢しせいを打ち出うちだします。

11月つきには岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとユン大統領だいとうりょうの、正式せいしきな形かたちではおよそ3年ねんぶりとなる日にち韓かん首脳しゅのう会談かいだんが行おこなわれ、懸案けんあんの早期そうき解決かいけつを図はかることで一致いっちします。

これを受うけて日にち韓かんの外交がいこう当局とうきょくによる事務じむレベルの協議きょうぎが加速かそくし、ことし1月つき、韓国かんこくは、日本にっぽん企業きぎょうに代かわって韓国かんこく政府せいふの傘下さんかにある既存きそんの財団ざいだんが原告げんこくへの支払しはらいを行おこなう案あんを明あきらかにしました。

そして先週せんしゅう、韓国かんこくがこの案あんをもとに解決かいけつ策さくを正式せいしき発表はっぴょうすると、日本にっぽん側がわは日にち韓かん関係かんけいを健全けんぜんな関係かんけいに戻もどすためのものと評価ひょうかし、ユン大統領だいとうりょうの訪日ほうにちが実現じつげんする運はこびとなりました。

2018年ねん12月つきには海上かいじょう自衛隊じえいたいの航空こうくう機きが日本海にほんかいで韓国かんこく軍ぐんの艦艇かんていから射撃しゃげき管制かんせい用ようレーダーの照射しょうしゃを受うけ、日本にっぽん政府せいふは不測ふそくの事態じたいを招まねきかねない危険きけんな行為こういだとして抗議こうぎしました。

一方いっぽう、韓国かんこく側がわは、自衛隊じえいたい機きを狙ねらったものではないという姿勢しせいを崩くずさず、双方そうほうの見解けんかいは異ことなったままとなっています。

【佐渡さど島とうの金山かなやま】

日本にっぽんが世界せかい文化ぶんか遺産いさんへの登録とうろくを目指めざしている新潟にいがた県けんの「佐渡さど島とうの金山かなやま」をめぐっても韓国かんこくは「朝鮮ちょうせん半島はんとう出身しゅっしんの労働ろうどう者しゃが強制きょうせい的てきに働はたらかされた場所ばしょだ」として反発はんぱつしています。

【福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ 処理しょり水すい放出ほうしゅつ計画けいかく】

さらに、東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょにたまる処理しょり水すいを基準きじゅんを下回したまわった状態じょうたいに薄うすめて海うみに放出ほうしゅつする計画けいかくについて、韓国かんこくは懸念けねんを表明ひょうめいしています。

今後こんご、日にち韓かん関係かんけいの改善かいぜんを進すすめるため、こうした課題かだいや懸案けんあんについても協議きょうぎが進すすむかが焦点しょうてんとなります。

このほか、韓国かんこくとの間まには島根しまね県けんの竹島たけしまをめぐる領土りょうど問題もんだいもあります。

日本にっぽんはこの問題もんだいを平和へいわ的てき手段しゅだんで解決かいけつするため1954年ねん以降いこう、3回かいにわたって国際こくさい司法しほう裁判所さいばんしょに付託ふたくすることを韓国かんこく側がわに提案ていあんしましたが、いずれも拒否きょひされ、実現じつげんしていません。

一方いっぽう、日本にっぽんと韓国かんこくは2004年ねん7月つきから首脳しゅのうが相互そうごに訪問ほうもんする「シャトル外交がいこう」を行おこなっていました。

サッカーワールドカップの共同きょうどう開催かいさいや韓国かんこくドラマなどを背景はいけいとした「韓かん流りゅうブーム」で友好ゆうこうムードが高たかまる中なか、当時とうじの小泉こいずみ総理そうり大臣だいじんと韓国かんこくのノ・ムヒョン（盧の武たけし鉉）大統領だいとうりょうが合意ごういして始はじまりました。

途中とちゅう、中断ちゅうだんした時期じきもありましたが、2011年ねん12月つきの当時とうじの民主党みんしゅとうの野田のだ総理そうり大臣だいじんとイ・ミョンバク（李り明博あきひろ）大統領だいとうりょうとの会談かいだんまで行おこなわれました。

しかし、2012年ねんにイ大統領だいとうりょうが竹島たけしまに上陸じょうりくするなどして関係かんけいが悪化あっかし、以来いらい、国際こくさい会議かいぎなどに合あわせた機会きかいを除のぞき、両国りょうこくの首脳しゅのうによる相互そうご訪問ほうもんは12年ねん近ちかく途絶とだえています。

こうした中なか、去年きょねん5月つきに韓国かんこくでは日本にっぽんとの関係かんけい改善かいぜんに意欲いよくを示しめすユン・ソンニョル大統領だいとうりょうが就任しゅうにん。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとユン大統領だいとうりょうは、9月つきに国連こくれん総会そうかいに合あわせてニューヨークで短時間たんじかん、非公式ひこうしきに懇談こんだんしたのに続つづき、11月つきにはASEAN＝東南アジアとうなんあじあ諸国しょこく連合れんごう関連かんれんの首脳しゅのう会議かいぎに合あわせてカンボジアでおよそ3年ねんぶりとなる首脳しゅのう会談かいだんを行おこないました。

そして今回こんかい、太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいで韓国かんこくが解決かいけつ策さくを発表はっぴょうしたことを踏ふまえ、ユン大統領だいとうりょうが日本にっぽんを訪問ほうもんする運はこびとなりました。

そして今月こんげつ6日にち、韓国かんこく政府せいふが太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいの解決かいけつ策さくを発表はっぴょうし、ユン大統領だいとうりょうは7日にちに「韓かん日にち両国りょうこくの共同きょうどう利益りえきと未来みらいの発展はってんにふさわしい方策ほうさくを模索もさくしてきた結果けっかだ」と意義いぎを強調きょうちょうしていました。

解決かいけつ策さくをめぐって一部いちぶの原告げんこくや市民しみん団体だんたいが強つよく反発はんぱつする中なか、韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふは今月こんげつ11日にちに公開こうかいした動画どうがで、人的じんてき往来おうらいや経済けいざい交流こうりゅうの面めんでも日本にっぽんとの関係かんけい改善かいぜんは極きわめて重要じゅうようだと訴うったえるなど韓国かんこく国内こくないの幅広はばひろい支持しじを集あつめようとしています。

こうした姿勢しせいの背景はいけいにはかつてない頻度ひんどでミサイルの発射はっしゃを繰り返くりかえすなど、一段いちだんと高たかまっている北朝鮮きたちょうせんの核かく・ミサイルの脅威きょういへの危機きき感かんがあるとみられています。

韓国かんこくの情報じょうほう機関きかんは、北朝鮮きたちょうせんが来月らいげつにかけて核かく戦力せんりょくを含ふくめた大だい規模きぼな軍事ぐんじ訓練くんれんを行おこなうとともに固体こたい燃料ねんりょう式しきの新型しんがたICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイルを初はじめて発射はっしゃする可能かのう性せいがあるという見方みかたを示しめしています。

このため、ユン政権せいけんとしてはことしで70年ねんとなるアメリカとの同盟どうめい関係かんけいの強化きょうかに加くわえ、冷え込ひえこんでいた日本にっぽんとの関係かんけい修復しゅうふくを急いそぐことで日にち米べい韓かん3か国かこくによる抑止よくし力りょくの向上こうじょうを進すすめたい考かんがえとみられます。

選挙せんきょ戦せんの時ときから冷え込ひえこんだ日にち韓かん関係かんけいの改善かいぜんに意欲いよくを見みせてきたユン氏しは、去年きょねん3月つきの大統領だいとうりょう選挙せんきょで当時とうじの与党よとう「共ともに民主党みんしゅとう」のイ・ジェミョン（李り在ざい明あきら）氏しに0.73ポイントの差さで勝利しょうりし、5月つきに大統領だいとうりょうに就任しゅうにんしました。

就任しゅうにん前まえのユン氏しを知しる人ひとたちは、ユン氏しが信念しんねんを貫つらぬく一本気いっぽんぎな性格せいかくの一方いっぽう、酒さけの席せきが好すきで面倒めんどう見みがよく、慕したわれていたと話はなしていて、司法しほう試験しけんの直前ちょくぜんにもかかわらず友人ゆうじんの結婚けっこんの世話せわに奔走ほんそうしていたというエピソードもあります。

ユン氏しは愛犬あいけん家かとしても知しられていて、大統領だいとうりょう選挙せんきょの時ときの資料しりょうによると趣味しゅみは買い物かいものに料理りょうり、それに散歩さんぽや美術館びじゅつかん巡めぐりで、第だい2次じ世界せかい大戦たいせん当時とうじ、イギリスを率ひきいてナチス・ドイツとの戦争せんそうを勝利しょうりに導みちびいたチャーチル元もと首相しゅしょうを尊敬そんけいする人物じんぶつとしてあげています。

今回こんかいの日本にっぽん訪問ほうもんに同行どうこうする12歳さい年下とししたのキム・ゴニ夫人ふじんとはユン氏しが51歳さいの時ときに結婚けっこんしました。