警視庁によりますと、19日午前9時20分ごろ、東京 中央区日本橋のビルの建設工事現場で支柱の鉄骨が倒れました。
この事故で作業員の男性5人が巻き込まれ、このうち30代と40代の2人が死亡し、1人が意識不明の重体になっています。
このほか20代の男性作業員2人がけがをしましたが、意識はあるということです。
倒れた支柱の鉄骨はおよそ15トンあり、支柱が倒れた際に死亡した2人を含む4人が7階部分から3階部分に転落したとみられるということです。
現場は51階建てのビルの建設工事現場で、JR東京駅八重洲口近くの多くのオフィスビルが建ち並ぶ人通りの多い地区にあります。
警視庁などが事故の詳しい状況を調べています。
現場近くの男性「ドーンという大きな音響く」
現場近くの地下に事務所を構えるレンタカー店の従業員の男性は、午前9時ごろに自動車が壁にぶつかったような大きな音が1度、響くのを聞いたということです。
男性は「事務所は地下2階にありますが『ドーン』という大きな音が響いたのが聞こえました」と話していました。
現場近くの飲食店従業員「聞いたことない大きな音」
また、現場近くの飲食店の従業員は「ドカンという聞いたことがない、かなり大きな音と金属が落ちたような音が聞こえてきたので、何か事故があったのかなと思いました。今もパトカーや消防車がひっきりなしに行き交い、騒がしい状況が続いていて驚いています」と話していました。
現場の近くにいた人「雷が落ちるような音と地響き」
現場の近くにいた40代の男性は「雷が落ちるような音と地響きがして建設工事現場を見ると、警備員がシャッターを開けて慌てている様子だった。2人が頭から血を流しているのが見えた。現場は1年半くらい前から工事をしていて、いつも大勢の人が出入りしていた」と話していました。
東京駅八重洲口の正面 51階建てビルの建設現場
現場は、東京駅八重洲口の正面に位置する地上51階建ての複合商業施設の建設現場です。
東京駅前の再開発事業として進められていて、2021年に着工し、2025年の完成予定に向けて工事が進められています。
建設は、大林組と大成建設の共同企業体が手がけていて、取材に対して「現在、状況を確認している」と話しています。
ホームページによりますと、建設中のビルにはオフィスフロアのほか、国際会議を開催できる会議場や、演劇やコンサートを開催する劇場、それに、商業施設が入るフロアなどが設けられることになっています。
国交相認定の大規模工事
国土交通省によりますと、事故のあった現場は東京駅から東にすぐの企業の本社などが集まる地域で、「民間都市再生事業計画」として令和2年に国土交通大臣に認定され、大規模な工事が行われています。
計画では、建物は地上51階、地下4階の鉄骨造りで、オフィスに加え、高速バスの停留所を集約した大規模バスターミナルのほか、国際会議を開催することができるカンファレンスセンターや外国語に対応した医療施設などを整備するとしています。
また、災害時にはバスターミナルを活用して物資の輸送を行うほか、医療施設で救護活動なども実施する計画です。
計画によりますと2021年の秋に着工し、2025年の春に建物の工事が完成する予定で、東京駅前の交通機能の強化や国際競争力の強化を目指すとしています。