性同一性障害の
人が
戸籍上の
性別を
変更するには
生殖能力をなくす
手術を
受ける必要がありますが、
その要件が
憲法違反か
どうかが
争われている
申し立てで
初めてと
なる弁論が
最高裁判所で
開かれ、
当事者の
弁護士は、「
手術の
要件は
性別の
在り方が
尊重される
権利を
侵害し、
憲法違反だ」と
訴えました。
これに先立ち26日、大法廷で当事者本人が意見を述べる異例の手続きが行われていたことも明らかになりました。
性同一性障害の人の戸籍上の性別について定めた特例法では、生殖機能がないことなど複数の要件を満たした場合に限って性別の変更を認めています。
この要件について、戸籍上は男性で女性として社会生活を送る当事者は「手術の強制は憲法違反だ」として、手術なしで性別変更を認めるように家庭裁判所に申し立てましたが、家裁と高等裁判所は認めませんでした。
この申し立てについて最高裁判所は27日、15人の裁判官全員で審理する大法廷で初めて弁論を開き、当事者本人は出席せず、弁護士のみが出廷しました。
弁護士は、「当事者は長年のホルモン治療で生殖能力が減退し、女性としての生活を送るのに手術は必要ない。手術を受けると身体的な苦痛や後遺症の危険、経済的な負担まで負うことになる」と述べました。
そのうえで「性別変更の引き換えに手術を求めるのは、申し立てる人に極めて大きな不利益や苦痛を背負わせる。手術の要件は性別の在り方が尊重される権利を侵害している」と主張しました。
また弁護士は、26日非公開で当事者本人の主張を聞く「審問」という手続きが行われたことを明らかにしました。
当事者は、戸籍上の性別が社会生活と一致しないことの困難さや不利益について、裁判官に直接訴えたということです。
最高裁判所が非公開の「審問」を行うのは極めて異例です。
判断は年内にも示されるとみられます。