東京 墨田区の社会福祉法人「賛育会」は、産科などがある区内の「賛育会病院」に、いわゆる「赤ちゃんポスト」を設置する方針を明らかにしました。
運用の開始は来年度中を目指していて、妊婦が医療機関だけに名前や連絡先などを明かして出産する「内密出産」などの事業も実施したいとしています。
貧困や虐待などを背景に予期しない妊娠や孤立出産の悩みを抱える女性が増え、赤ちゃんを遺棄する事件が相次いでいることなどを受け、数年前から検討を重ねてきたとして、今後、都や墨田区と具体的な協議を進めていくとしています。
賛育会によりますと、設置が実現すれば、医療機関としては熊本市の慈恵病院に続き、全国で2例目になるということです。
賛育会は「全国で痛ましい事件が相次いでおり、母親と赤ちゃんを守るセーフティーネットにならなければいけないと決断しました。このプロジェクトは、行政の援助がなければできません。来年度中の開始に向けて今後も粛々と準備を継続して参ります」としています。
都 “これまでに数回打ち合わせ”
東京都によりますと、ことし5月に墨田区の賛育会病院側から区を通して連絡があり、これまでに数回、都や区、それに病院の担当者が参加して打ち合わせが行われたということです。
この中では、病院側から▽来年度中に「赤ちゃんポスト」や「内密出産」などの事業を実施したいという考えや、▽行政との連携について相談したいという意向が示されたということです。
都は、▽子どもの戸籍の作成や、▽生活場所の確保などが課題になると病院側に伝えたということです。
都の担当者は「都は人口が集中しているため利用規模も大きくなる可能性があり慎重な検討が必要」とした上で「病院側から具体的な事業計画が提出されれば、対応を考えていく」としています。