米べい連邦れんぽう議会ぎかい 予算よさん案あんめぐる協議きょうぎが難航なんこう

アメリカの連邦れんぽう議会ぎかいでは、来月らいげつから始はじまる新あらたな会計かいけい年度ねんどの予算よさん案あんをめぐる協議きょうぎが難航なんこうしていて、当面とうめんのあいだ予算よさんの執行しっこうを続つづけるための「つなぎ予算よさん」が今月こんげつ中ちゅうに成立せいりつしなければ、政府せいふ職員しょくいんの人件じんけん費ひなどの手当てあてができず、10月つき1日にち以降いこう、政府せいふ機関きかんの一部いちぶが閉鎖へいさすることになります。

議会ぎかい下院かいんでは、多数たすう派はを占しめる共和党きょうわとうが「つなぎ予算よさん」の案あんをまとめ、29日にち、採決さいけつが行おこなわれましたが、大幅おおはばな歳出さいしゅつ削減さくげんなどを主張しゅちょうする党内とうないの保守ほしゅ強硬きょうこう派はの議員ぎいんなど21人にんが反対はんたいに回まわり、否決ひけつされました。

議会ぎかい上院じょういんでは、民主みんしゅ・共和きょうわ両りょう党とうの超党派ちょうとうはで「つなぎ予算よさん」の別べつの案あんがまとめられていますが、下院かいんの共和党きょうわとうの保守ほしゅ強硬きょうこう派はの議員ぎいんたちはこの案あんにも反対はんたいしていて、成立せいりつする見通みとおしは立たっていません。

保守ほしゅ強硬きょうこう派はの議員ぎいんたちは、主張しゅちょうが認みとめられなければ同おなじ共和党きょうわとうのマッカーシー下院かいん議長ぎちょうの解任かいにんを求もとめる構かまえを見みせて圧力あつりょくを強つよめていて、アメリカメディアは、政府せいふ機関きかんの閉鎖へいさの可能かのう性せいが高たかまっていると伝つたえています。

背景はいけいには下院かいん共和党きょうわとうの“内紛ないふん”とも言いえる状況じょうきょう

共和党きょうわとうは去年きょねん11月つきの中間ちゅうかん選挙せんきょで下院かいんの多数たすう派はを奪還だっかんしましたが、民主党みんしゅとうとの議席ぎせきの差さがわずかだったため、党内とうないから造反ぞうはん議員ぎいんを出ださないよう少数しょうすうの議員ぎいんグループの意向いこうも無視むしできない状況じょうきょうとなりました。

これにより、緊縮きんしゅく財政ざいせいやウクライナ支援しえんへの反対はんたいなどを訴うったえている少数しょうすうの保守ほしゅ強硬きょうこう派はの議員ぎいんたちの影響えいきょう力りょくが増ましました。

ことし1月つきには、下院かいんの議長ぎちょうを決きめるにあたって当時とうじ、共和党きょうわとうの下院かいんトップだったマッカーシー氏しを支持しじせず、選出せんしゅつに15回かいの投票とうひょうが必要ひつようになる164年ねんぶりの異例いれいの事態じたいを招まねきました。

この際さい、マッカーシー氏しは保守ほしゅ強硬きょうこう派はの支持しじを取り付とりつけるため、議長ぎちょうの解任かいにんを求もとめやすくするとした要求ようきゅうを受け入うけいれました。

連邦れんぽう議会ぎかいでは新あらたな会計かいけい年度ねんどの予算よさん案あんでも、保守ほしゅ強硬きょうこう派はが大幅おおはばな歳出さいしゅつ削減さくげんを主張しゅちょうして協議きょうぎが難航なんこうしていて当面とうめんのあいだ予算よさんの執行しっこうを続つづける「つなぎ予算よさん」を成立せいりつさせるための調整ちょうせいが続つづいていました。

下院かいん議長ぎちょうとして調整ちょうせいにあたったマッカーシー氏しは「つなぎ予算よさん」の案あんを党とう独自どくじでまとめましたが、29日にちに行おこなわれた採決さいけつで保守ほしゅ強硬きょうこう派はが反対はんたいに回まわったため、否決ひけつされました。

政府せいふ機関きかんの閉鎖へいさの可能かのう性せいが高たかまっていた中なか、議会ぎかい上院じょういんが民主みんしゅ・共和きょうわ両りょう党とうの超党派ちょうとうはで「つなぎ予算よさん」の別べつの案あんをまとめましたが、保守ほしゅ強硬きょうこう派ははこの案あんにも反対はんたいし、マッカーシー氏しが下院かいんで上院じょういんの案あんを採決さいけつすることを認みとめた場合ばあいには議長ぎちょうの解任かいにんを求もとめる構かまえを見みせ、成立せいりつの見通みとおしが一段いちだんと立たたなくなりました。

アメリカ議会ぎかいで政府せいふの予算よさん案あんをめぐる協議きょうぎが難航なんこうしている背景はいけいには議会ぎかい下院かいんの共和党きょうわとうの内紛ないふんとも言いえる状況じょうきょうがあります。

バイデン大統領だいとうりょう「政治せいじゲームをしてはならない」

バイデン大統領だいとうりょうは29日にち、軍ぐんの制服せいふく組ぐみトップのミリー統合とうごう参謀さんぼう本部ほんぶ議長ぎちょうの退任たいにん式しきで演説えんぜつし、政府せいふ機関きかんの一部いちぶが閉鎖へいさした場合ばあい、軍ぐんの兵士へいしに給与きゅうよが支払しはらわれなくなると指摘してきするとともに「不名誉ふめいよなことだ。すべての部隊ぶたいを失望しつぼうさせることになるだろう」と述のべ、野党やとう・共和党きょうわとうの保守ほしゅ強硬きょうこう派はの議員ぎいんたちを批判ひはんしました。

その上うえで「政治せいじゲームをしてはならない」と述のべ、共和党きょうわとうに対にたいし速すみやかな対応たいおうを求もとめました。

識者しきしゃ「解決かいけつに向むけた明確めいかくな道筋みちすじがない」

アメリカの議会ぎかい政治せいじに詳くわしいジョージ・ワシントン大学だいがくのピーター・ロージ准じゅん教授きょうじゅはNHKのインタビューに対にたいし「今回こんかい政府せいふ機関きかんが閉鎖へいさされればどれほど長ながく続つづくかは誰だれも予測よそくできない。現在げんざいの政治せいじ力学りきがくを見みれば、過去かこの政府せいふ機関きかん閉鎖へいさの際さいには存在そんざいした解決かいけつに向むけた明確めいかくな道筋みちすじがないからだ」と指摘してきしました。

事態じたいを難むずかしくしている背景はいけいについてロージ准じゅん教授きょうじゅは「下院かいんの一いち握にぎりの共和党きょうわとう議員ぎいんがすべてにおいて協力きょうりょくを拒こばんでいることがある。共和党きょうわとうは下院かいんで民主党みんしゅとうの議席ぎせきをわずかしか上回うわまわっていないため、マッカーシー議長ぎちょうは民主党みんしゅとうとのあいだで取り引とりひきをする以外いがいにない」と述のべ、「フリーダム・コーカス＝自由じゆう議員ぎいん連盟れんめい」と呼よばれるグループに属ぞくする共和党きょうわとうの保守ほしゅ強硬きょうこう派はが一段いちだんと影響えいきょう力りょくを増ましていることがあると分析ぶんせきしました。

そのうえで「事態じたい打開だかいの最大さいだいの障壁しょうへきとなっているのは、アメリカとメキシコの国境こっきょうにおける治安ちあんの問題もんだいと、自由じゆうのためにロシア軍ぐんと闘たたかうウクライナの人々ひとびとへの支援しえんを継続けいぞくするかどうかだ」と述のべ、共和党きょうわとうの保守ほしゅ強硬きょうこう派はが強つよく主張しゅちょうする、メキシコ国境こっきょうでの取締とりしまりの強化きょうかと、ウクライナへの支援しえんの見直みなおしが、今後こんごの協議きょうぎのポイントになる、との見方みかたを示しめしました。