そのうえで「われわれは大きな責任を負ったことも事実で、国民の理解と協力を得ていく努力を続けることが必要だ」と述べ、国民への説明責任を果たしていくよう指示しました。
政府が保有するとした「反撃能力」については、わが国に対する攻撃の着手の正確な判断は現実的に困難で、先制攻撃とみなされるリスクが大きく、いわゆる「存立危機事態」での相手国の領域内への攻撃を否定していないうえ、専守防衛を逸脱する可能性があるなどとして賛同できないとしています。 防衛費については、必要な予算を積み上げた結果として一定の増額はありえるとする一方、政府が示した5年間で43兆円程度とする方針は「数字ありき」で合理性に欠け、歳出改革の具体的なプランも示さないまま、復興特別所得税を含む「防衛増税」を行っているとして論外だと批判しています。 そして、今回の3つの文書は安全保障政策の大転換で、国民や国会への説明と論戦が絶対に必要だと指摘しています。
一方、「国家安全保障戦略」など3つの文書について藤田幹事長は「反撃能力などに踏み込んでいることは一定の評価をしたいが『専守防衛』や『必要最小限度』の定義、実際の運用を見据えた許容範囲のシミュレーションなど、非常に難しい議論を先送りしている印象がある」と述べました。
そのうえで「『敵基地攻撃能力』の保有に踏み込むのは、専守防衛の完全な放棄だ。ありとあらゆるものをかき集めて軍事費に充てようとしており、消費税の大増税の危険が現実のものになってくると思うが『軍栄えて、民滅ぶ』という日本にしてはならない」と述べました。
一方、防衛費を5年間で43兆円程度に増額する計画については「『規模ありき』の議論と言わざるをえず、国会の議論を経ることなく、財源の一部を増税で賄う点は疑義を感じざるをえない」としています。
また防衛費の増額については「法人税や所得税、たばこ税の大増税を打ち出し、国民の大きな怒りを買っている。軍拡予算には断固反対だ」としています。
そのうえで「防衛費を43兆円に増額する決定を行うとともに、インド太平洋における安全保障の提供者としての日本の役割について明白かつ明確に戦略的表明を行っている。岸田総理大臣は日本がインド太平洋とヨーロッパの同盟国、それにパートナーと外交的・政治的に関与する中で日本の地位を強化してきた」としています。
そのうえで「日本側には両国間の4つの政治文書の原則を厳守し、互いを脅威とみなさず協力のパートナーとして位置づけるという共通認識を行動に移すよう改めて促す。中国の脅威を誇張し、みずからの軍事力増強のために口実を探すたくらみは思いどおりにならないだろう」と述べました。
また「反撃能力」をめぐっては「朝鮮半島を対象とした『反撃能力』の行使のように、朝鮮半島の安全保障や韓国の国益に重大な影響を及ぼす事案は、事前に日本と韓国の間で緊密な協議と同意が必要だ」としています。 一方、韓国外務省のソ・ミンジョン(徐旻廷)アジア太平洋局長は16日午後、日本大使館の熊谷総括公使を呼びました。 韓国の通信社、連合ニュースは、日本固有の領土である島根県の竹島の領有権問題は日本の一貫した立場に基づいて毅然と対応するなどと「国家安全保障戦略」に記載されたことをめぐり、ソ局長が、竹島を「トクト(独島)」と呼んで領有権を主張したうえで「強く抗議し、直ちに削除することを要求する」と伝えたと報じています。
安里さんはアメリカ軍の捕虜となって生き延び、戦後は地元の学校で子どもたちにみずからの経験を語ってきました。 今回の閣議決定をめぐって、安里さんは「一定の防衛力は必要だが日本から決して攻めてはならない。過去に中国や東南アジア周辺を攻めて大変不幸なことになり、結果的に日本も悲惨な目にあった」と話していました。 そのうえで「戦争を体験していない人たちは平和ぼけというか、平和そのものが当たり前になっていて戦争の恐ろしさが分かっていない。戦争は悪で人類にとって敵だ。戦争を避けるための政治をやるべきだ」と訴えていました。 また、沖縄戦で家族を失いアメリカ軍の捕虜となって生き延びた那覇市の玉木利枝子さん(88)は、沖縄戦で父や兄など家族8人を失い、その後アメリカ軍の捕虜になり、生き延びました。 語り部としてみずからの経験を20年近く修学旅行生などに伝えてきました。 玉木さんは「家族を含め多くの人の犠牲を目の当たりにしてきた。日本という国は当時のつらい経験を学んでいないのではないか。戦争が近づき沖縄戦の時に耳にした軍靴が聞こえてくるような感じがする」と話していました。 そのうえで「日本は戦争はしませんと憲法でうたい、70年以上もみんな平和に生きてきたが、沖縄が砲弾を最初に迎える地域になってしまうのではないかという怖さがある。平和はみんなの努力なくして続けられない」と訴えていました。
自民 萩生田政調会長「国民を守れる体制作りの第一歩」
公明 高木政調会長「専守防衛の枠内で対応も確認」
立民が声明 “国会の議論 国民的合意ないまま記載 容認できず”
立民 泉代表「岸田首相の暴走 強く抗議」
維新 藤田幹事長「一定の評価 非常に難しい議論 先送りの印象」
共産 志位委員長「極めて危険な内容 断固反対 即時撤回を」
国民 前原安全保障調査会長「提案した考え方 おおむね反映」
社民 服部幹事長「平和憲法を事実上壊す 認める訳にはいかない」
米 バイデン大統領「日本の貢献を歓迎」
米駐日大使「岸田首相は新たな時代の幕開けを告げた」
中国外務省「日本側は事実を無視 断固として反対」
韓国外務省「朝鮮半島への『反撃能力』行使は同意が必要」
台湾外交部「評価し歓迎する」
沖縄戦の体験者「戦争を避けるための政治を」
敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となります。
国内外の反応です。
浜田防衛相「成果が結実も 大きな責任負った」