1週間しゅうかん平均へいきんの1日にちあたりの感染かんせん者しゃ数すうは12月つき上旬じょうじゅんに一時いちじ、横よこばいになりましたが、その後そのご、増加ぞうかが続つづいています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうは12月つき21日にち、感染かんせん者しゃ数すうが増加ぞうかする速度そくどは低下ていかしているとしながらも「増加ぞうか傾向けいこうが続つづいている。遅おくれて感染かんせん拡大かくだいが始はじまった中国ちゅうごく・四国しこくや九州きゅうしゅうなどでは増加ぞうか幅はばが大おおきい」と分析ぶんせきしました。

これまで主流しゅりゅうだったオミクロン株かぶの「BA.5」による感染かんせんに加くわえ、より免疫めんえきから逃のがれやすい新あらたな変異へんいウイルスへの置き換おきかわりが進すすんできていることが影響えいきょうしているとみられています。

新型しんがたコロナ対策たいさくにあたる政府せいふ分科ぶんか会かいメンバーで東邦とうほう大学だいがくの舘田たてだ一博かずひろ教授きょうじゅは「行動こうどう制限せいげんがないなかで年末ねんまつ年始ねんしの時期じきを迎むかえ、クリスマス、忘年ぼうねん会かい、帰省きせい、新年しんねん会かいと接触せっしょく機会きかいが増ふえることなどで感染かんせんが急増きゅうぞうに転てんじないか注意ちゅういが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

ところが、亡なくなった人ひとの数かずは12月つき22日にちと24日にちに339人にんと、第だい7波はのピークに近ちかくなっています。

専門せんもん家かは、

▽オミクロン株かぶ対応たいおうワクチンの接種せっしゅがあまり進すすんでいないことで、高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに亡なくなる人ひとの割合わりあいが増ふえている可能かのう性せいがあること、

そして、

▽ことし9月つきに感染かんせん者しゃ数すうの報告ほうこく形式けいしきが変かわって以降いこう、報告ほうこくの精度せいどが下さがり、感染かんせんしても受診じゅしんしない人ひとも増ふえているとみられるなど感染かんせん者しゃ数すうが以前いぜんよりも正確せいかくに把握はあくできなくなり、実際じっさいにはさらに多おおくの感染かんせん者しゃが出でている可能かのう性せいもあると指摘してきしています。

また、呼吸こきゅう器きの病気びょうきが重症じゅうしょう化かするだけでなく、感染かんせん後ごに血栓けっせんができるケースも報告ほうこくされ、心臓しんぞうなど循環じゅんかん器きの病気びょうきになってきているのではないかという見方みかたも専門せんもん家かから出だされています。

「まだ第だい8波はの入り口いりくちの段階だんかいで、亡なくなる人ひとの数かずはことし夏なつの第だい7波はのピークに近ちかづきつつあり、これから感染かんせんが拡大かくだいし、亡なくなる人ひとがさらに増ふえる事態じたいを懸念けねんしている。年末ねんまつ年始ねんしはただでさえ通常つうじょうの疾患しっかんの患者かんじゃが増ふえ医療いりょう体制たいせいが弱よわくなる時期じきで、事故じこによるけがや心こころ疾患しっかんなどの病気びょうきの人ひとに対応たいおうできなくなる事態じたいもありうる」

また、海外かいがいを含ふくめた感染かんせんの状況じょうきょうに詳くわしい東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ篤郎とくろう特とく任にん教授きょうじゅは「亡なくなった人ひとの数かずは表ひょうに出でてきている一方いっぽうで、感染かんせん者しゃ数すうはいま報告ほうこくされているより少すくなめになっている可能かのう性せいもある。実際じっさいにはもっと感染かんせんしている人ひとがいて、すでに第だい7波はと同おなじ程度ていどの感染かんせん状況じょうきょうになってきているおそれもある」と指摘してきしています。

今後こんごの感染かんせん状況じょうきょうはどう推移すいいするのか。

名古屋なごや工業こうぎょう大学だいがくの平田ひらた晃あきら正せい教授きょうじゅらのグループは、新あらたな変異へんいウイルスの状況じょうきょうや過去かこの感染かんせん状況じょうきょう、ワクチンの接種せっしゅ状況じょうきょう、ツイッターなどで出でてきた飲のみ会かいの開催かいさい状況じょうきょうなどの情報じょうほうをもとにAI＝人工じんこう知能ちのうを使つかって分析ぶんせきしています。

東京とうきょう都との1週間しゅうかん平均へいきんの1日にちあたりの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは12月つき半なかばの時点じてんで1万まん5000人にん余あまりで、これまでのところ、12月つき5日にちまでのデータをもとに行いったシミュレーション通どおりで推移すいいしています。

ただ、推計すいけいでは忘年ぼうねん会かいや新年しんねん会かいなどの開催かいさい状況じょうきょうなど社会しゃかい活動かつどうの大おおきさ次第しだいで、12月つき下旬げじゅんから1月つき上旬じょうじゅんにかけて感染かんせん者しゃ数すうが大おおきく増ふえるか、ある程度あるていど抑おさえられるか、大おおきく異ことなることになるとしています。

これに対にたいし、社会しゃかい活動かつどうが大おおきかった場合ばあいには1月つき上旬じょうじゅんにはおよそ2万まん8000人にんに達たっするという試算しさんが示しめされています。

「SNSで見みられる『飲のみ会かい』などのキーワードは前まえの年としよりも多おおめだが、それもプラス30％程度ていどに抑おさえられている。夜間やかんの人出ひとでもそれほど大おおきな伸のびではなく、ハロウィーン後ごと比くらべても比較的ひかくてき穏おだやかな上昇じょうしょうスピードだ。コロナ禍か前まえの生活せいかつに徐々じょじょに戻もどりつつも、多おおくの方ほうが節度せつどを持もって行動こうどうしているのではないか。ただ、2021年ねんは12月つき最終さいしゅう週しゅうから人ひとの活動かつどうが一気いっきに戻もどってきて、オミクロン株かぶの拡大かくだいにつながった。移動いどうやふだん会あわない人ひとと接せっする機会きかいが増ふえる時期じきで、感染かんせん状況じょうきょうを引き下ひきさげる要因よういんはほとんどない」

また、「BQ.1.1」が9.4％、「BQ.1」が2.5％と合あわせて1割わりを超こえてきています。

アメリカでは、CDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターのデータによると、12月つき24日にちまでの1週間しゅうかんで「BA.5」は6.9％、「BQ.1.1」が35.7％、「BQ.1」が27.4％で、「BQ.1」系統けいとうが6割わり余あまりと主流しゅりゅうになっています。

オミクロン株かぶのうちの複数ふくすうのタイプのウイルスが組くみ合あわさった「XBB」も18.3％を占しめています。

ECDC＝ヨーロッパ疾病しっぺい予防よぼう管理かんりセンターによりますと、フランスやドイツなど7か国かこくでは12月つき11日にちまでの2週間しゅうかんで、「BQ.1」系統けいとうが52.0％を占しめて最もっとも多おおく、「BA.5」は31.1％、「BA.2.75」は8.2％、「XBB」は6.5％などとなっています。

一方いっぽう、いわゆる「ゼロコロナ政策せいさく」が見直みなおされ、感染かんせん拡大かくだいが起おきている中国ちゅうごくでは、「BA.5」にさらに変異へんいが加くわわり、免疫めんえきの攻撃こうげきをすり抜すりぬけやすいとされる「BF.7」が拡大かくだいしているとされます。

東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ特とく任にん教授きょうじゅは、中国ちゅうごくの感染かんせん状況じょうきょうが日本にっぽんなど周辺しゅうへんの国くにに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいやウイルスの変異へんいが進すすむおそれを懸念けねんしています。

「『BF.7』は『BA.5』に変異へんいが加くわわったものなので、そこまで感染かんせん力りょくが変かわらないのではないかという指摘してきもあるが、注視ちゅうしする必要ひつようがある。中国ちゅうごくでは1

月つきに、旧きゅう正月しょうがつの『春節しゅんせつ』の時期じきを迎むかえてこれまで以上いじょうに国内こくない外がいで移動いどうが活発かっぱつになることが予想よそうされる。この時期じきに中国ちゅうごく国内こくないの感染かんせんのピークが重かさなれば、日本にっぽんを含ふくめた周辺しゅうへん各国かっこくの感染かんせん状況じょうきょうに影響えいきょうが波及はきゅうすることは想定そうていしておく必要ひつようがある。また、中国ちゅうごく国内こくないで極きわめて大勢たいせいの人ひとが感染かんせんし今後こんごも拡大かくだいしていくことになれば、性質せいしつが変かわってしまう新あらたな変異へんいウイルスが生うまれるおそれもある」

いまも主流しゅりゅうの「BA.5」に対にたいしては、効果こうかがみられるという報告ほうこくが出だされています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょは、従来じゅうらい型がたのワクチンを2回かい以上いじょう接種せっしゅした上うえでオミクロン株かぶ対応たいおうのワクチンを接種せっしゅした人ひとでは、「BA.5」の感染かんせんが主流しゅりゅうとなっていたことし9月つきから11月つきにかけて発症はっしょうを防ふせぐ効果こうかは71％だったと発表はっぴょうし、高たかい効果こうかが示しめされたとしています。

一方いっぽうで、新あらたな変異へんいウイルスに対にたいしてはワクチンの効果こうかは下さがるとする報告ほうこくが各国かっこくから出だされてきています。

それによりますと、中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねは従来じゅうらい型がたのワクチンを4回かい接種せっしゅして1か月かげつから2か月かげつ後ごの時点じてんで、「BQ.1.1」では従来じゅうらい型がたのウイルスに対にたいするのと比くらべておよそ43分ぶんの1に「XBB」ではおよそ52分ぶんの1になっていて、免疫めんえきの攻撃こうげきをより逃のがれやすくなっていたことがわかったとしています。

また、オミクロン株かぶに対応たいおうしたワクチンの新あらたな変異へんいウイルスへの効果こうかについて、アメリカ・コロンビア大学ころんびあだいがくなどのグループが12月つき、科学かがく雑誌ざっしの「セル」に発表はっぴょうしています。

それによりますと、従来じゅうらい型がたのワクチンを3回かい接種せっしゅし、オミクロン株かぶ対応たいおうのワクチンを追加ついかで接種せっしゅした場合ばあい、「BQ.1.1」に対にたいする中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねは従来じゅうらい型がたのウイルスに対にたいする値ねと比くらべておよそ41分ぶんの1になっていたということです。

感染かんせん予防よぼうへの効果こうかは下さがる可能かのう性せいがありますが、グループは「重症じゅうしょう化かを抑おさえる可能かのう性せいや後遺症こういしょうのリスクを下さげる可能かのう性せいは、引き続ひきつづき示しめされている」としています。

ワクチンに詳くわしい北里きたざと大学だいがくの中山なかやま哲夫てつお特とく任にん教授きょうじゅは、抗体こうたいのレベルが下さがっているからといって、新あらたな変異へんいウイルスに対にたいしてワクチンの効果こうかがなくなるわけではないとしています。

「抗体こうたいのほかに、細胞さいぼう性せい免疫めんえきといって感染かんせんした細胞さいぼうをやっつける力ちからも、ワクチンの接種せっしゅで押し上おしあげられる。中和ちゅうわ抗体こうたいは免疫めんえき機能きのうのうちの1つの指標しひょうとして見みているにすぎず、それだけですべてを議論ぎろんすることはできない。感染かんせんすることはあるかもしれないが、重症じゅうしょう化かを抑おさえるという意味いみで十分じゅうぶん機能きのうする。今後こんご、国内こくないで『BQ.1』などの新あらたな変異へんいウイルスが増ふえていく中なかでも、重症じゅうしょう化かを抑おさえるという点てんで有効ゆうこう性せいのあるワクチンだと思おもう」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうは12月つき21日にちの会合かいごうで「直近ちょっきん2年間ねんかんより高たかい水準すいじゅんであり、足あしもとで増加ぞうかしている」などとして、インフルエンザワクチンの接種せっしゅなど、新型しんがたコロナとの同時どうじ流行りゅうこうに備そなえた対応たいおうが必要ひつようだとしています。

海外かいがいでもインフルエンザは増加ぞうかしていて、WHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんは12月つき12日にちの報告ほうこくで世界せかい的てきにインフルエンザが拡大かくだいしているとしました。

特とくに、北米ほくべいではここ数すう週間しゅうかん、急激きゅうげきに増加ぞうかし続つづけていて、指標しひょうの一部いちぶは新型しんがたコロナ以前いぜんの流行りゅうこうのピーク時じと近ちかいレベルになっていたり、上回うわまわっていたりしているとしています。

東京とうきょうの大学だいがく病院びょういんでもコロナ患者かんじゃ用ようの病床びょうしょうが満まん床ゆかになり、コロナとコロナ以外いがいの救急きゅうきゅう搬送はんそうが受うけられなくなっているところが出でてきています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうは、新型しんがたコロナ以外いがいの症例しょうれいで搬送はんそうが難むずかしいケースがすでに「第だい7波は」のピークを超こえているとして、年末ねんまつ年始ねんしの救急きゅうきゅう医療いりょう体制たいせいの確保かくほに向むけて注意ちゅういが必要ひつようだとしています。

▽手て指ゆびの消毒しょうどく、屋内おくないで人ひとと近ちかい距離きょりで会話かいわする場面ばめんなどではマスクを着用ちゃくようする。

▽飲食いんしょく店てんなどでは換気かんきを徹底てっていする。

さらに、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいが始はじまって以降いこう、例年れいねん、年末ねんまつ年始ねんしのこの時期じきにはふだん会あわない人ひととの接触せっしょく機会きかいが増ふえることなどが影響えいきょうして、全国ぜんこくで感染かんせんが急激きゅうげきに増加ぞうかする傾向けいこうが続つづいています。

忘年ぼうねん会かいや新年しんねん会かい、帰省きせいをする際さい、かぜのような症状しょうじょうがあるなど不安ふあんがある場合ばあいには見合みあわせることも大事だいじなポイントです。