アップル日本法人に140億円の追徴課税消費税免税販売と認めず - Easy News

アメリカのIT大手おおてアップルの日本にっぽん法人ほうじんが、iPhoneなどの免税めんぜい販売はんばいで消費しょうひ税ぜいの免税めんぜいが適用てきようされない転売てんばい目的もくてきの疑うたがいがある取り引とりひきが、去年きょねん9月つきまでの2年間ねんかんにおよそ1400億おく円えんに上のぼると東京とうきょう国税局こくぜいきょくから指摘してきされ、消費しょうひ税ぜいおよそ140億おく円えんを追徴ついちょう課税かぜいされたことが関係かんけい者しゃへの取材しゅざいで分わかりました。免税めんぜい販売はんばいをめぐる追徴ついちょう課税かぜいとしては過去かこ最大さいだい規模きぼとみられます。

追徴ついちょう課税かぜいされたのは、アメリカのIT大手おおてアップルの日本にっぽん法人ほうじん「アップルジャパン」です。

消費しょうひ税ぜいには外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃなどに土産物みやげものや日にち用品ようひんなど販売はんばいする場合ばあい、免税めんぜい販売はんばいを認みとめる制度せいどがありますが、転売てんばい目的もくてきの場合ばあいは認みとめられません。

しかし関係かんけい者しゃによりますと、東京とうきょう国税局こくぜいきょくの税務ぜいむ調査ちょうさで、転売てんばい目的もくてきの疑うたがいがある免税めんぜい販売はんばいが日本にっぽん法人ほうじんの直営ちょくえい店てんで相次あいついで確認かくにんされ、中なかには、中国ちゅうごくからの旅行りょこう者しゃが1人にんで数すう百ひゃく台だいのiPhoneを免税めんぜいで購入こうにゅうしたり、転売てんばい業者ぎょうしゃがSNSで旅行りょこう者しゃを勧誘かんゆうし、報酬ほうしゅうを支払しはらって免税めんぜいで購入こうにゅうさせたりしたとみられるケースもあったということです。

iPhoneの国内こくないでの販売はんばい価格かかくが海外かいがいより安やすいことが、転売てんばい目的もくてきの購入こうにゅうが相次あいつぐ背景はいけいにあるとみられます。

東京とうきょう国税局こくぜいきょくは、去年きょねん9月つきまでの2年間ねんかんの売り上うりあげのうち、およそ1400億おく円えんは免税めんぜい販売はんばいの対象たいしょうとは認みとめられないと指摘してきし、過少かしょう申告しんこく加算かさん税ぜいなどを含ふくめおよそ140億おく円えんを追徴ついちょう課税かぜいしたということです。

免税めんぜい販売はんばいをめぐる追徴ついちょう課税かぜいとしては過去かこ最大さいだい規模きぼとみられます。

アップル日本にっぽん法人ほうじん「コメントできない」

アップルの日本にっぽん法人ほうじんは、アップルストアでの免税めんぜい販売はんばいはことし6月つきに終了しゅうりょうしているとしたうえで「免税めんぜい販売はんばいができず、ご不便ふべんをおかけすることをおわびします」とコメントしています。

一方いっぽう、追徴ついちょう課税かぜいについてはコメントできないとしています。

免税めんぜい販売はんばいの不正ふせい発覚はっかく相次あいつぐ

免税めんぜい販売はんばいをめぐっては国税こくぜい当局とうきょくの税務ぜいむ調査ちょうさで不正ふせいが発覚はっかくするケースがほかにも相次あいついでいます。

先月せんげつには中国人ちゅうごくじん7人にんが、大阪おおさか市内しないの百貨店ひゃっかてんなどで“爆買かい”した高級こうきゅうブランド品ひんなど77億おく円えん相当そうとうの商品しょうひんが免税めんぜいの対象たいしょうにならないとして、大阪おおさか国税局こくぜいきょくが消費しょうひ税ぜいおよそ7億おく6000万まん円えんを徴収ちょうしゅうする処分しょぶんを出だし、7人にんは大半たいはんを納付のうふせずに出国しゅっこくしていたことが明あきらかになりました。

また、ことし10月つきには都内とないのデパート3社しゃが、制度せいどの対象たいしょうにならない外国がいこく人じんなどに免税めんぜいで販売はんばいするケースがあったとして、東京とうきょう国税局こくぜいきょくから合あわせて1億おく円えん余あまりを追徴ついちょう課税かぜいされていたことも明あきらかになりました。

背景はいけいに海外かいがいとの価格かかく差さか

転売てんばい目的もくてきの疑うたがいがある免税めんぜい販売はんばいの背景はいけいにあるとみられるのが、日本にっぽんでの販売はんばい価格かかくが海外かいがいより安やすいことです。

東京とうきょう港みなと区くの調査ちょうさ会社かいしゃによりますと、ことし9月つき時点じてんで、iPhoneのシェアや需要じゅようの高たかい世界せかいの37の国くにと地域ちいきの中なかで、日本にっぽんが最もっとも価格かかくが安やすかったということです。

最新さいしんモデルは特とくに人気にんきがあり、iPhone14は、日本にっぽんでの販売はんばい価格かかく11万まん9800円えんに対にたいして、ほかの36か国かこくの平均へいきんは14万まん8182円えんで、およそ2万まん8400円えんの差さがあるということです。

また、最もっとも高こう機能きのうで、中国ちゅうごくで人気にんきがあるという「iPhone14Pro Max」は、ほかの国くにとの価格かかく差さがおよそ6万まん2400円えんにのぼるということです。

消費しょうひ税ぜいが免除めんじょされる「免税めんぜい購入こうにゅう」をすれば、価格かかく差さはさらに大おおきくなり、調査ちょうさ会社かいしゃによりますと、中国ちゅうごくからの旅行りょこう者しゃが転売てんばい目的もくてきで日本にっぽんでiPhoneを大量たいりょうに購入こうにゅうしているという情報じょうほうが寄よせられていたということです。

IT関連かんれんの調査ちょうさ会社かいしゃ、MM総研そうけんの横田よこた英明ひであき研究けんきゅう部長ぶちょうは「アップルにとって日本にっぽんは市場しじょうシェアが大おおきいため、しっかり販売はんばいしていきたいという戦略せんりゃくがあるとみられ、世界せかい的てきにみても価格かかくが低ひくい状況じょうきょうがここ数すう年ねん続つづいていた。中国ちゅうごくでは需要じゅようも高たかく、免税めんぜい扱あつかいになると利りざやも広ひろがる。免税めんぜいの対象たいしょうとなる購入こうにゅう額がくに上限じょうげん規制きせいを設もうけるなど、何なんらかの対策たいさくが必要ひつようだと思おもう」と話はなしていました。

免税めんぜい制度せいどの変遷へんせんは

消費しょうひ税ぜいの免税めんぜい制度せいどはインバウンドの増加ぞうかを背景はいけいに拡充かくじゅうされてきました。

2014年ねんには、家電かでんや衣料いりょう品ひんなどに限かぎられていた対象たいしょう品目ひんもくが化粧けしょう品ひんや食料しょくりょう品ひん、薬品やくひんなどの消耗しょうもう品ひんにも広ひろがりました。

2015年ねんには、小しょう規模きぼの店舗てんぽが共同きょうどうで免税めんぜい手続てつづきを行おこなう窓口まどぐちを設置せっちすることができるようになります。

2018年ねんには対象たいしょう商品しょうひんの区分くぶんがなくなり、購入こうにゅう額がくが合あわせて5000円えん以上いじょうになれば、免税めんぜいの対象たいしょうとなりました。

免税めんぜい店てんの数かずは、2012年ねんに4173店てんだったのが、ことし9月つきには5万まん2227店てんと大幅おおはばに増加ぞうかしています。

免税めんぜい店てんからの情報じょうほう管理かんりの簡略かんりゃく化かを求もとめる声こえの高たかまりなどを受うけて、国くにはおととし4月つきに、免税めんぜい店てんが購入こうにゅう記録きろくや客きゃくのパスポート情報じょうほうを電子でんし化かして国税庁こくぜいちょうのシステムに送おくる仕組しくみを導入どうにゅうし、国税庁こくぜいちょうはこれを利用りようしながら税関ぜいかんとも情報じょうほうを共有きょうゆうして制度せいど悪用あくようへの対策たいさく強化きょうかを進すすめています。

さらに制度せいどの適正てきせいな運用うんようを図はかるため対象たいしょうから留学生りゅうがくせいなどを除外じょがいし、「短期たんき滞在たいざい」の在留ざいりゅう資格しかくを持もつ外国がいこく人じんなどに限定げんていする制度せいどの改正かいせいを、来年らいねん4月つきに行おこなうことにしています。

専門せんもん家か「制度せいど見直みなおしも検討けんとうを」

租税そぜい法ほうに詳くわしい青山あおやま学院がくいん大学だいがくの三木みき義一ぎいち名誉めいよ教授きょうじゅは「外国がいこくでは旅行りょこう客きゃくもいったん店みせに消費しょうひ税ぜいを支払しはらったうえで、帰国きこくするときに戻もどしてもらう仕組しくみを取とっているが、日本にっぽんの場合ばあいは手続てつづきが簡略かんりゃく化かされ店てんで免税めんぜい手続てつづきが取とれるためチェックが難むずかしくなっている」と指摘してきしています。

そのうえで「小売こうり店てんが客きゃくに対にたいして『この人ひとは免税めんぜいの対象たいしょうにならない人ひとではないか』という前提ぜんていで接せっすることは難むずかしいので、そういうことが起おきないような仕組しくみを作つくらないと、免税めんぜい店てんもやりにくいのではないか。抜け道ぬけみちがあると、消費しょうひ税ぜいを負担ふたんする意欲いよくが失うしなわれかねず、根幹こんかんの制度せいど設計せっけいの見直みなおしを含ふくめて検討けんとうするべきだ」と話はなしていました。