韓国外務省は、
太平洋戦争中の「
徴用」をめぐる
問題の
解決策を
話し合う公開討論会で、
日本企業による
賠償や
日本側の
謝罪を
期待するのは
難しいという
意見が
あるとした
上で、
裁判で
賠償を
命じられた
日本企業に
代わって
韓国政府の
傘下にある
既存の
財団が
原告への
支払いを
行う案を
軸に
検討していることを
明らかにしました。
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を話し合うため、韓国外務省が12日ソウルで開いた公開討論会には、国会議員や有識者、それに「徴用」をめぐる裁判の原告側の代理人などが出席しました。
討論会では、韓国外務省のソ・ミンジョン(徐旻廷)アジア太平洋局長が、去年4回開催した官民合同の協議会での議論も踏まえて韓国政府の方針を説明しました。
この中でソ局長は、▽被告となった日本企業による賠償や日本側の謝罪を期待するのは難しいという意見や、▽第三者が原告への支払いを肩代わりすることも可能だという指摘があったと述べました。
その上で、裁判で賠償を命じられた日本企業に代わって韓国政府の傘下にある既存の財団が原告への支払いを行う案を軸に検討していることを明らかにしました。
韓国政府は、原告が高齢であることなどから、12日の討論会を、解決策のとりまとめに向けた最終段階と位置づけています。
ただ、当初、韓国外務省と、超党派の議員でつくる韓日議員連盟の共同開催の予定だった討論会は、野党側の反発で与党トップの議員連盟会長との共同開催という形に変更されたほか、日本企業による謝罪と賠償を求める一部の原告側の関係者が欠席しました。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権としては、「徴用」をめぐる問題を解決して日韓関係の正常化を急ぎたい考えですが、韓国国内の世論の理解を得られるかどうかは見通せない状況です。
松野官房長官「韓国政府と緊密に意思疎通」
松野官房長官は午前の記者会見で「去年11月の日韓首脳会談で両首脳は日韓間の懸案の早期解決を図ることで改めて一致し、外交当局間の意思疎通を継続している。1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な形に戻し、さらに発展させていくため韓国政府と緊密に意思疎通をしていく」と述べました。