コロナ禍で、去年までは花見シーズンも客足が戻らない状況が続いていましたが、ことしは雨の日でも満席となり、新たな予約を断らざるをえないこともあるということです。
運航会社によりますと今月の予約数は去年の同じ時期と比べておよそ4.5倍と、コロナ禍前の水準まで戻ってきているということです。
初めて屋形船に乗ったという50代の女性は「地上で見る桜と違って屋形船は桜が流れていくように見えました。春らしさを感じられて大満足です」と話していました。
「晴海屋」の安田孝一さんは「長いコロナ禍で屋形船がこのまま受け入れられなくなるのではないかという不安がありましたが、多くのお客様に来ていただき、『4年ぶりに春が来た』という気持ちです」と話していました。
女性向け雑貨などのECサイトを運営する都内の会社では、コロナ禍でリモートワークが増えたほか、取引先との対面の仕事も減っていたということです。 そこで、この会社では、花見を交流の場として活用してほしいと「花見手当」と称して開催の費用を確保することにしました。 物価が上昇する中で社員の負担を軽減させたいという思いもあるということです。 24日は昼休みに社員など7人が近くの公園で花見を行い、満開のサクラのもと、写真を撮影したり会話に花を咲かせたりしていました。 飲食代などは「花見手当」から出したということで、今後は、花見をする社員旅行なども計画したいとしています。 参加した30代の社員は「直接みんなと話せてプライベートや近況を知ることができてすごい楽しかったですし、距離が近くなった気もしてこれから仕事を頑張れそうです」と話していました。 ECサイト運営会社「rainboww」の朱静儀社長は「社員が気軽にコミュニケーションをとれるようにと思い、女性が多い会社なので昼に開催しました。みんなの笑顔が見られてよかったです」と話していました。
都内の桜の名所の1つ、千鳥ヶ淵緑道とその周辺では、「千代田のさくらまつり」が4年ぶりに開催されていて、12日間でおよそ100万人とコロナ前に近い水準の来場が見込まれています。 ただ、多くの人が集まるためコロナへの感染を懸念する人も予想されるとして、千代田区観光協会では、ことしから会場にAI=人工知能を搭載したカメラを設置し、混雑状況を分析して発信することにしました。 カメラが通り過ぎる人を認識して人数のデータを集計し、3つの地点の混雑状況をそれぞれ4段階にわけて、観光協会のホームページで伝えます。 来場者がこれを参考にすることで特定の場所への集中が避けられれば、感染対策につながるほか、去年、韓国で起きたような雑踏事故の防止にも役立つのではないかということです。 また、カメラでは、来場者が同じ場所にとどまる時間も分析していて、滞留が起きやすいポイントを把握し、今後の警備体制にも反映させたいということです。 千代田区観光協会の山崎真理事務局次長は「皆さんが安心してお花見ができるよう、AIのカメラの使用を決めました。ホームページ上で混雑の状況をみて、すいている場所に来ていただいたり、訪れる日をずらしていただければと思います」と話していました。
東京の目黒川沿いは、コロナ前は花見期間中、およそ300万人が訪れる一方、周辺に放置されるごみの量は7万トン余りに上っていたということです。 ことしは人出の回復に伴って放置ごみの増加が見込まれていて、街作り活動に取り組む団体では、期間中、キッチンカーなどが集まる川沿いの広場で、使い捨てのカップに替えて、繰り返し使えるカップで提供する取り組みを始めました。 カップの放置を防ぐために受け取るときに500円を預け、最後に返却する際に500円が戻ってくる仕組みになっています。 また、広場以外でも、取り組みに協力する飲食店でこのカップを使うと、割り引きが受けられる特典もあるということです。 カップを利用した20代の女性は「きれいな桜を見て、ごみを出さないことに貢献していると思うと気分もいいです」と話していました。 「ナカメエリアマネジメント」の大塚剛事務局長は「にぎわいが戻りうれしい反面、ごみが出て、まちが汚れるのは課題で、取り組みを行うことで、放置ごみの問題を防ぎたいと考えています。ごみを出さないという意識の上で、桜を楽しめるまちになってほしいです」と話していました。
社員どうしや取引先との交流促す会社も
AIを活用して混雑状況を分析、発信する動きも
放置ごみ対策に“繰り返し使えるカップ”