保管ほかんする自治体じちたいでは相続そうぞくする家族かぞくを探さがす調査ちょうさなどの負担ふたんが大おおきくなっているとして、総務そうむ省しょうは厚生こうせい労働ろうどう省しょうなどに対にたいし、負担ふたんの軽減けいげんにつながる情報じょうほうを関係かんけい機関きかんに周知しゅうちするよう勧告かんこくしました。

総務そうむ省しょう行政ぎょうせい評価ひょうか局きょくは身寄みよりのない人ひとが亡なくなったあとに残のこした遺留いりゅう金きんの保管ほかんや処理しょりについて全国ぜんこく1741すべての市区しく町村ちょうそんを対象たいしょうに調査ちょうさを行おこない、1000を超こえる自治体じちたいから回答かいとうがありました。

それによりますと、全国ぜんこくの自治体じちたいが保管ほかんする遺留いりゅう金きんの総額そうがくは2021年ねん10月末げつまつの時点じてんで少すくなくとも21億おく4900万まん円えん余あまりに上のぼったということです。

2018年ねん3月末げつまつの時点じてんではおよそ13億おく円えんで、3年ねん半はんで8億おく4000万まん円えん増加ぞうかしています。

保管ほかんする自治体じちたいは相続そうぞく人じんを探さがし、みつからなければ最終さいしゅう的てきには遺留いりゅう金きんを国庫こっこに納おさめることになりますが、単身たんしん世帯せたいが増ふえて家族かぞくのつながりが希薄きはくになる中なか、調査ちょうさは難むずかしくなっていて、自治体じちたいの負担ふたんが課題かだいとなっています。

また今回こんかいの調査ちょうさでは、死亡しぼう届とどけが親族しんぞくから提出ていしゅつされず、相続そうぞく人じんの調査ちょうさに必要ひつような戸籍こせき謄本とうほんの交付こうふを請求せいきゅうできないケースや、亡なくなった人ひとの葬祭そうさい費ひに充あてるために自治体じちたいが本人ほんにんの口座こうざから預金よきんを引き出ひきだそうとしても金融きんゆう機関きかんが応おうじないケースも確認かくにんされたということです。

このため総務そうむ省しょうは、遺留いりゅう金きんの取り扱とりあつかいについて指針ししんを出だしている厚生こうせい労働ろうどう省しょうと法務省ほうむしょうに対にたいし、戸籍こせき謄本とうほんの交付こうふの請求せいきゅうや預金よきんの引き出ひきだしについては、必要ひつような場合ばあいには自治体じちたいが対応たいおうできる法的ほうてき根拠こんきょがあることを指針ししんで示しめし、関係かんけい機関きかんに周知しゅうちするなど改善かいぜんを行おこなうよう勧告かんこくしました。

専門せんもん家か「負担ふたん軽減けいげんには国くにの支援しえんが必要ひつよう」

自治体じちたい法務ほうむに詳くわしい福知山ふくちやま公立大こうりつだい学がくの藤島ふじしま光雄みつお教授きょうじゅは「各地かくちの自治体じちたいでは生活せいかつ保護ほごの受給じゅきゅう者しゃが増ふえる一方いっぽう、ケースワーカー不足ふそくも深刻しんこくでただでさえ業務ぎょうむが忙いそがしく、遺留いりゅう金きんに付随ふずいする相続そうぞく人じん調査ちょうさの業務ぎょうむは大おおきな負担ふたんで、遺留いりゅう金きんの処理しょりは緊急きんきゅうの課題かだいだ」と指摘してきしています。

その上うえで「遺留いりゅう金きんなどについて国くにも少すこしずつ前向まえむきに取り組とりくんできてはいるが、今後こんごも増ふえることが見込みこまれる中なか、相続そうぞく人じん調査ちょうさなど処理しょりにかかる費用ひようは自治体じちたいの持ち出もちだしで、負担ふたんを軽減けいげんするには国くにの財政ざいせい的てきな支援しえんが必要ひつようだ」と話はなしていました。

松本まつもと総務そうむ相しょう「勧告かんこくは必要ひつような措置そちを求もとめるもの」

松本まつもと総務そうむ大臣だいじんは閣議かくぎのあと記者きしゃ団だんに対にたいし「今回こんかいの勧告かんこくは、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんと法務ほうむ大臣だいじんに対にたいし、身寄みよりのない方ほうが亡なくなった場合ばあいの遺留いりゅう金きんについて、市区しく町村ちょうそんなどが相続そうぞく人じんに優先ゆうせんして引き出ひきだし、葬祭そうさい費用ひように充あてることができる法的ほうてき根拠こんきょを明示めいじし、必要ひつような措置そちを講こうじるよう求もとめるものだ」と述のべました。