小野おのさんは、12年ねん前まえに起おきた原発げんぱつ事故じこで避難ひなんを余儀よぎなくされたため、妻つまの繁子しげこさんともに郡山こおりやま市しで避難ひなん生活せいかつを続つづけ、毎年まいとし、桜さくらが咲さく時期じきには一時いちじ立ち入たちいりを申請しんせいしてふるさとに足あしを運はこんできました。

生うまれてから原発げんぱつ事故じこが起おきるまで63年間ねんかん、夜の森よのもりの桜さくら並木なみきとともに暮くらし、子こどものころは通学つうがく路ろも友達ともだちと遊あそぶのも桜さくらのトンネルの下しただったということです。

小野おのさんは「定年ていねん退職たいしょくし、第だい2の人生じんせいが始はじまると思おもったやさきに震災しんさいと原発げんぱつ事故じこが起おきたので、12年ねんたってやっと元もとの暮くらしに戻もどれます。夕方ゆうがた、花見はなみ客きゃくが少すくなくなったらゆっくり桜さくらを楽たのしみます。周まわりではたくさんの家いえが解体かいたいされて今いまは人ひとがいませんが、『帰還きかんするつもりだ』と話はなしている人ひともいるので、これから少すこしずつにぎわいが出でてくればいいと思おもいます」と話はなしていました。

今回こんかいの解除かいじょで町まちのシンボルになっている全長ぜんちょうおよそ2キロの桜さくら並木なみきの周辺しゅうへん地域ちいきすべてが居住きょじゅう可能かのうになります。

この区域くいきには3月つき1日にち時点じてんで1143世帯せたい2580人にんが住民じゅうみん登録とうろくしていて、町まちは5年ねん後ごまでに居住きょじゅう者しゃを1600人にんまで増ふやしたいとしています。

ただ、自宅じたくに寝泊ねとまりしながら帰還きかんの準備じゅんびを進すすめる「準備じゅんび宿泊しゅくはく」の制度せいどに登録とうろくしたのは2％にあたる26世帯せたい54人にんにとどまっていて、帰還きかんの促進そくしんに加くわえ移住いじゅう者しゃなど、まちづくりの担い手にないてをどのようにして呼び込よびこむかが課題かだいとなります。