18日にちの2審しん判決はんけつで東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの細田ほそだ啓介けいすけ裁判さいばん長ちょうは、争点そうてんとなっていた震災しんさいの9年ねん前まえに国くにの機関きかんが公表こうひょうした地震じしんの予測よそく「長期ちょうき評価ひょうか」の信頼しんらい性せいについて、「10メートルを超こえる津波つなみが襲来しゅうらいする現実げんじつ的てきな可能かのう性せいを認識にんしきさせるものだったとはいえない」と否定ひていしました。

その上うえで、「電力でんりょくの安定あんてい供給きょうきゅうのリスクを慎重しんちょうに考かんがえる必要ひつようがあり、旧きゅう経営けいえい陣じんは漠然ばくぜんとした理由りゆうで原発げんぱつの運転うんてん停止ていしを命めいじられない立場たちばだった。当時とうじの3人にんの認識にんしきも考慮こうりょすると事故じこを回避かいひするために原発げんぱつの運転うんてんを停止ていしするほどの義務ぎむがあったとはいえない」などとして、1審しんに続つづいて無罪むざいを言い渡いいわたしました。

18日にちは3人にんの被告ひこくのうち武ぶ黒くろ元もと副ふく社長しゃちょうと武藤むとう元もと副ふく社長しゃちょうが法廷ほうていに姿すがたを見みせ、無罪むざいが言い渡いいわたされたときは証言しょうげん台だいの前まえに立たってまっすぐ裁判さいばん長ちょうの方ほうを見みていました。

保ほ延のべさんは「何なん回かいやっても同おなじ結果けっかですが、3人にんには何なにかしらの責任せきにんがあると思おもっています。何なにか物ものが欲ほしい訳わけではなく、線香せんこうをあげにでも来きてもらいたいです。この年としになってどうすることもできないですが、今いまでも多おおくの人ひとが私わたしのようにふるさとを追い出おいだされ、家族かぞくとの離れ離はなればなれの生活せいかつを送おくっています。このままあきらめるしかないと思おもっています」と話はなしていました。

原発げんぱつ事故じこが起おきた当時とうじ、保ほ延のべさんは浪江なみえ町まちに暮くらし、夫おっとの欣司きんじさん（当時とうじ82）は原発げんぱつが立地りっちする大熊おおくま町まちにあった双葉ふたば病院びょういんに入院にゅういんしていました。

欣司きんじさんは、地震じしん発生はっせいの3日にち後ごに入院にゅういん先さきの病院びょういんから救出きゅうしゅつされ、ほかの患者かんじゃとともに避難ひなん所しょとなっていたいわき市しの高校こうこうの体育館たいいくかんに向むかいましたが、乗のっていたバスは、原発げんぱつ周辺しゅうへんの避難ひなん区域くいきを避さけるため、70キロから80キロほど離はなれた福島ふくしま市しや郡山こおりやま市しまでう回うかいせざるをえず、治療ちりょうを受うけられないまま10時間じかんかけて移動いどうする間まに脱水だっすい症状しょうじょうを起おこし、翌日よくじつ、たどりついた体育館たいいくかんで亡なくなりました。

保ほ延のべさんは当時とうじを振り返ふりかえって「遺体いたいを渡わたされただけでどのようにして亡なくなってしまったのか聞ききたいです。夫おっとが目めを閉とじるときにそばにいてあげたかったです」と話はなしていました。

その上うえで、「時間じかんはあらゆるものを過去かこに追おいやってしまうが、事故じこが起おきたことは決けっして忘わすれてはならず、事故じこの記憶きおくが薄うすらぐ中なかでも責任せきにんの所在しょざいを明あきらかにしていくべきだ。最高裁さいこうさいの判断はんだんはまだなので、最高裁さいこうさいの最終さいしゅう的てきな判断はんだんを待まちたい」と話はなしていました。