アメリカ国防こくぼう総省そうしょうによりますと、4日にち午後ごご、アメリカ軍ぐんのF22ステルス戦闘せんとう機きが、南部なんぶサウスカロライナ州しゅうの沖合おきあいおよそ11キロの領海りょうかいの上空じょうくうで、アメリカ本土ほんどを飛行ひこうしてきた中国ちゅうごくの気球ききゅうに空そら対空たいくうミサイル1発はつを発射はっしゃし、海うみに墜落ついらくさせたということです。

周辺しゅうへんで民間みんかんの航空こうくう機きや船舶せんぱくへの被害ひがいは確認かくにんされておらず、アメリカ軍ぐんなどが落下らっかした気球ききゅうの残骸ざんがいの回収かいしゅうを進すすめています。

アメリカ軍ぐんの幹部かんぶは記者きしゃ団だんに対にたいし、残骸ざんがいは海上かいじょうおよそ11キロにわたって散ちらばっているものの、回収かいしゅうは比較的ひかくてき短みじか時間じかんで完了かんりょうするとの見通みとおしを示しめしました。

国防こくぼう総省そうしょうの高官こうかんによりますと、気球ききゅうは先月せんげつ28日にちにアリューシャン列島れっとうの北方ほっぽうのアメリカの防空ぼうくう識別しきべつ圏けんに進入しんにゅうしたあと、30日にちにカナダの領空りょうくうを通過つうかし、31日にちに再ふたたび西部せいぶアイダホ州しゅう北部ほくぶからアメリカの領空りょうくうに入はいったということです。

この高官こうかんは、気球ききゅうが飛行ひこうしている間ま、搭載とうさいされた装置そうちなどを分析ぶんせきできたとした上うえで、気球ききゅうは偵察ていさつを目的もくてきとするものだという認識にんしきを改あらためて示しめしました。

一方いっぽう、中国ちゅうごく側がわは気球ききゅうは気象きしょうなどを研究けんきゅうする民間みんかんの飛行船ひこうせんだと発表はっぴょうしていて、アメリカ軍ぐんは回収かいしゅうした残骸ざんがいをFBI＝連邦れんぽう捜査そうさ局きょくなどとともに調査ちょうさし、気球ききゅうの情報じょうほう収集しゅうしゅう能力のうりょくについて分析ぶんせきを進すすめることにしています。

ロイター通信ろいた-つうしんが配信はいしんしたアメリカ南部なんぶのサウスカロライナ州しゅうで撮影さつえいされた映像えいぞうでは、左側ひだりがわから右みぎ下かに向むかって移動いどうしていく白しろい筋すじが確認かくにんできます。

これが戦闘せんとう機きとみられます。

途中とちゅうから白しろい筋すじは二股ふたまたに分わかれます。

その一方いっぽうが、気球ききゅうとみられる白しろい物体ぶったいの方向ほうこうに向むかって伸のびていくのが分わかります。

これが撃墜げきついに使つかわれた空そら対空たいくうミサイルとみられます。

しばらくすると、気球ききゅうとみられる白しろい物体ぶったいが煙けむりを上あげ、その後そのご、落下らっかしていくのがわかります。

バイデン大統領だいとうりょうが気球ききゅうを撃ち落うちおとす判断はんだんをした理由りゆうは

ワシントンの高木たかぎ優ゆう支局しきょく長ちょうは次つぎのように解説かいせつします。

気球ききゅうの撃墜げきついは、全米ぜんべいのメディアが注目ちゅうもくするなか、劇的げきてきな形かたちで実行じっこうされました。その判断はんだんには2つの大おおきな理由りゆうがありそうです。

1つは、気球ききゅうを回収かいしゅうして、詳くわしく調査ちょうさすることです。

アメリカ国防こくぼう総省そうしょうは、気球ききゅうは偵察ていさつ用ようのものだと断定だんていしていますが、その性能せいのうや、集あつめていたと見みられる情報じょうほうを突き止つきとめ、中国ちゅうごくの意図いとをつかむねらいがあると見みられます。

もう1つは、アメリカ国内こくないからの圧力あつりょくです。

バイデン政権せいけんは、特とくに野党やとう・共和党きょうわとうから、中国ちゅうごくに対にたいして弱腰よわごしだという批判ひはんを浴あびており、きぜんとした態度たいどを国民こくみんに示しめすという政治せいじ的てきな思惑おもわくもあったとことは確実かくじつです。

今後こんごの米べい中ちゅう関係かんけいは当面とうめん、気球ききゅうをめぐる真相しんそう究明きゅうめいと、撃墜げきついに対にたいする中国ちゅうごく側がわの出方でかたに委ゆだねられることになりそうです。